2009 Fiscal Year Annual Research Report
バースト高周波高電界の生体作用とその制御およびがん治療への応用
Project/Area Number |
09J56542
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
矢野 正彦 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バースト高周波高電界 / アポトーシス誘導 / 増殖活性 |
Research Abstract |
私の研究は電界強度100kV/mを超える高周波高電界によって動物細胞の反応や活性を制御し、最終的にはがん治療などへの応用を目指すものであり、平成21年度は、計画通り、電界強度を昨年の3倍出力させる電界システムを構築し、さらにDNAの損傷だけでなく、細胞の形態の変化や細胞死、DNAを分解するカスパーゼシグナルの活性化の周波数依存性、電界強度依存性、細胞応答時間による活性度の変化を確認した。とくに、低い周波数領域では、細胞の膜に強い電界が分布し、細胞内部への影響は少なくなる。このときに、強電界を印加することで細胞膜が破れ細胞質が外に漏れ出す現象が確認されたが、高周波になると、細胞内部へと電界が分布するため、3MHzを超えると細胞膜を破壊せず、細胞内部へと影響を与えられることを実験的に示した。さらに、低周波領域の電界印加による細胞死反応は、電界印加食後から細胞膜が破れているにも関わらず、1時間後に死細胞と反応する試薬に反応することから、電界刺激によって細胞死へと繋がるアポトーシスのような生体反応を引き起こしたといえる。 また、電界の印加回数による細胞への影響の変化を確認した。一定数以上の電界印加によって細胞の増殖活性は低下するが、印加回数を制御することで、特定の周波数帯において、細胞の分裂増殖が活性化させることに成功した。成長因子などを制御することにより、がん治療だけでなく血小板の活性化を行い外傷の治癒を早めたり、植物の成長速度をコントロールしたりと、医療や農業応用へとつながる可能性を見出した。
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Research Products
(4 results)