2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
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Keywords | ヒステリー的身体 / ロマン主義 / カフカ / 近代舞踊の身体 / フォーサイス |
Research Abstract |
今年度は、舞踊における身体が舞踊以外のジャンルに投影されたときに、その当該のジャンルにいかなるインパクトを与えるか、また舞踊のジャンルにいかなる影響がフィード・バックされるかを重点的に研究した。舞踊の身体は、特に十八世紀末から二十世紀はじめにかけての文学(なかんずくロマン主義とその末裔)における身体表象と表裏一体にして発展してきたものであり、今回、文学上の身体がいわば集約的に問題化されているカフカのケースを重点的に調査して、そこにみられる神経症の身体の抑圧と回帰のドラマが、コンテンポラリー・ダンスにいたるまでの舞踊の身体におけるそれと歴史的にも共時的にも通底することが確認されたのは、大きな収穫であった。つまり、ロマン主義においてロマンティック・バレエとともに開花したヒステリー的身体が、十九世紀のブルジョワ論理によって美的に整形されることによって抑圧され(ロシアの古典バレエ)、それがまた、カフカとほぼ同時代のロシア・バレエ団とニジンスキーによって再発見ないしは再解放されるという、身体論から見た近代舞踊の身体の展望と布置が、あらためてカフカにおいてはっきりトレースされることによって、本研究の身体論の妥当性と射程の広さ・深さがあらためて証明されることになったのである。 今年度はまた、現代でもっとも注目すべき振付家であるフォーサイスが開発した振付用のソフトウェアを分析研究して、コンピュータ上の仮想空間でシミュレートされる身体の動きがどれほどの実現性と創造性を帯びうるかという問題を集中的に検証することも行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 石光泰夫: "キットラー機械の神のディスクール分析"大航海. 6・3. 60-69 (2000)
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[Publications] 石光泰夫: "『表象のディスクール』第3巻のうち、「ヒステリー的身体の夢-身体論のゆくえ」"東京大学出版会. 338(9-32) (2000)
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[Publications] 石光泰夫: "『表象のディスクール』第5巻のうち「メディアと神経症」"東京大学出版会. 332(15-34) (2000)