1998 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪処理過程における領民の諸負担を通してみた仙台藩刑事法の研究
Project/Area Number |
10620001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 正志 東北大学, 法学部, 教授 (30113872)
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Keywords | 仙台藩 / 牢 / 拘禁費用 / 護送費用 |
Research Abstract |
1. 関係史料の収集・整理及び翻刻 (1) 仙台藩の史料については、藩庁文書の残存状況が十分でないため、代官所関係者や村町役人層の残した史料を丹念に収集する必要がある。本年度は、本研究の土台となる、刑事法関係のこうした史料収集・整理を主たる作業として進めた。 (2) これらの収集・整理した史料のうち、代官所関係者の作製した史料と思われる、農村部における変死者の検使手続きを記した(仮題)「仙台藩法令集」を、『東北大学法学部法政資料調査室研究資料』29として翻刻した。 2. 被疑者拘禁費用及び護送費用の分析 (1) 被疑者を仙台城下の牢に拘禁する際、食費その他の費用(仙台藩ではこれを「牢米」と呼んでいる)をだれが負担するかについては、比較的豊富な史料を入手できたので、これを(1)慶安・寛文期、(2)延宝期、(3)享保期の3期に分けて分析をはじめ、そのなかで、とくに博奕犯については、家族及び五人組・村の負担が強化されるという新知見を得た。 (2) 逮捕地より仙台城下の牢までの護送費用については、藩の役人が逮捕したか、それとも村役人などが逮捕したかにより、その負担者が異なるようであり、今後その間の詳細を検討していくつもりである。なお、このことは、農村部の捜査機関の実態解明とも関係するものであり、来年度の主要な研究作業となる予定である。
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Research Products
(1 results)