2000 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪処理過程における領民の諸負担を通してみた仙台藩刑事法の研究
Project/Area Number |
10620001
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Research Institution | TOHUKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 正志 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30113872)
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Keywords | 仙台藩 / 牢 / 流刑 / 藩法 |
Research Abstract |
1.関係史料の補充収集・整理及び翻刻 (1)昨年までの作業を補充し、史料収集を行った。これを含め、本研究において収集し得た未刊史料の翻刻刊行を計画し、本年中に筆耕を完了した分を、藩法史料叢書刊行会編『藩法史料叢書』3・仙台藩上として、2002年2月刊行予定で原稿を出版社に渡した。 (2)史料の補充調査をしている中で、仙台藩の牢屋敷関係の史料25冊が、ほとんど利用されないまま矯正図書館に眠っていることを発見した。仙台藩行刑の実態を詳細に知り得る貴重な史料であり、まとめて翻刻刊行する許可を同図書館より得た。現在鋭意筆耕中であり、計画としては、上記『藩法史料叢書』5・仙台藩下として2004年2月に刊行したい。 2.審理及び刑執行段階の分析 (1)被疑者が仙台城下の評定所で審理される段階の問題として、イ)牢米と呼ばれる拘禁費用を誰が負担するか、ロ)関係者として村役人等が評定所に召喚される場合、その旅費等を誰が負担するか、の2点を中心に分析を加えた。いずれも、五人組・村・郡単位での負担が大きいことが実証された。 (2)刑の執行については、すでに死刑及び晒刑については考察済みなので、今回は主として流刑について検討した。流刑地の負担のほか、城下から流刑地までの各宿場の負担も見逃せないことを明らかにした。 3.総括及び報告書の作成 (1)3年間の研究を総括し、仙台藩刑事法関係諸史料を発掘するとともに、犯罪処理の過程に領民の諸負担が不可欠の一環として組み込まれていることを明瞭にした。 (2)上記の内容を総合して、報告書を作成した。
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