1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10630026
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
小林 好宏 札幌大学, 経済学部, 教授 (50000683)
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Keywords | 事故 / 災害 / 防災 / 安全性と経済性 / 被害額 / 損失最小化 / トレード・オフ |
Research Abstract |
本研究は、事故や災害による社会的損失を最小化する問題を理論と実証の両面から明らかにすることを目的としている。平成10年度は分析手法について効用最大化アプローチと費用最小化アプローチの二つを提示し、それぞれが自然災害、交通事故、工場災害、犯罪等に応じてあてはまるかどうかを示し、最適予防投資を求める一般論を展開した。その上で交通事故を対象にし、実態分析を行った上で、最適予防資の問題を展開した。これらの研究成果は三篇の論文にまとめられ発表された。 平成11年度は同じ手法で自然災害と工場災害について分析を行った。まず自然災害については、長期データから災害による死者数は趨勢的に減少しているが、被害額は逆に趨勢的に増大傾向にあることが明らかとなった。地方、防災投資額は、ストックの被害額を常に上回る傾向を示していた。わが国の場合、被害額が防災投資額を上回ったのは最近の20年間では阪神淡路大震災のときのみである。このような実態を前提として最適防災投資の理論を構築した。しかしこれは困難な問題を含む。自然災害は不規則的に生ずる確率的問題だからであり、それに対して予防はフルキャパシティであることが必要だからである。この問題は今後の課題として残された。次に工場災害について、安全性と経済性のトレードオフという視点からの分析を導入し、同じく最適化問題をとりあげた。自然災害についてはすでに論文として発表され、工場災害については準備中である。
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Research Products
(2 results)