1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650092
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
英 崇夫 徳島大学, 工学部, 教授 (20035637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 一也 徳島大学, 工学部, 助手 (70274256)
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Keywords | 薄膜 / Cu膜 / X線応力測定 / 熱応力 / ストレスマイグレーション / 熱サイクル |
Research Abstract |
各種基板材料に蒸着された薄膜には、基板と膜の熱膨張係数差による熱残留応力と成膜により膜自体に発生する真応力が誘起され、これらの応力は膜あるいは膜と基板をシステムとした系全体の信頼性に影響を及ぼす。また、最近のLSI技術の中で、これらの膜応力と通電による電子の作用でストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションなどの現象が起こり、配線の断線や短絡の原因になっている。 この挙動をX線による膜応力の測定により解明しようと研究を進めており、Si基板上に真空蒸着法で作成したAl膜の応力の加熱冷却に伴う変化挙動の観察に続き、本研究課題ではガラス基板上にスパッタリング作成したCu膜の熱応力挙動を調査した。まず、ガラス基板上にRFスパッタしたCu膜のX線回折による観察で、Cu膜には強い{111}型配向と弱い{100}型配向が得られること、さらに、蒸着後に引張残留応力が存在することを確認した。つぎに、加熱冷却中の膜の熱応力その場測定を行い、室温から100℃までの加熱で膜応力がほぼ零応力に下がり、その後の400℃までの加熱では零応力を維持したままの状態が観測された。冷却過程では、最高温度から100℃までの冷却でわずかの引張応力形成を見るだけで、加熱冷却過程での熱応力ヒステリシスはAl膜に比べて極めて小さく、熱負荷に伴って原子の移動が容易に行われていることがわかった。膜表面のSEM観察から、400℃加熱によりヒロックの形成と特に膜厚の大きいものでは粒界ボイドの発生がが認められ、500℃でヒロック数の増大とサイズの拡大、また、粒界ボイドの拡大により連続粒界クラックに発生することが明らかになった。 これら膜試料の観測結果を基に、配線加工材についての熱履歴に伴う原子移動現象を観察していく予定である。
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