2000 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン共鳴を用いた放射線防護剤としてのラジカルスカベンジャーの基礎的検討
Project/Area Number |
10670844
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
邵 啓全 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20283567)
|
Keywords | ニトロキシドラジカル / L-バンド / 電子スピン共鳴装置 / 放射線 / 肺 / ラジカルスカベンジャー / アスコルビン酸 / 防護剤 |
Research Abstract |
アスコルビン酸の晩期放射線肺障害に対する防護剤(ラジカルスカベンジャー)としての有効性評価 胸郭照射直後マウス肺内における外因性ニトロキシドラジカル還元能低下抑制はアスコルビン酸投与量に比例して増強すること、すなわち、アスコルビン酸が放射線肺障害の有効な防護剤になり得るという可能性を平成10年度に示した。なお、還元能はL-バンド電子スピン共鳴装置(以下ESR)を用いて観測した。また、ニトロキシドラジカルとしてはhydroxy-2,2,6,6-tetrametyl-piperidine-N-oxyl(hydroxy-TEMPO)を用い、マウスを屠殺後、経気管的に肺内に直接投与する方法を採った。 その後、平成11年度からは、アスコルビン酸静脈内投与(40mg/kg)後、2Gy・5Gy・10Gyの3群に分けて1回照射を行い、その1時間後、1・3日後、1・4週後、以後4週間ごとに還元能を測定した(最長観測期間:28週間)。結果、2Gy・5Gy照射群では一時的な還元能低下からの回復後は再度の低下を認めなかった。一方、10Gy照射群では一時的な還元能低下からの回復後、1週後から再度の低下を認め、その後再度の回復を認めなかった。しかし、これらの結果とコントロール群(アスコルビン酸非投与照射群)の結果との間には有意差は認められなかった。そこで、アスコルビン酸の投与量を変えて同様な測定を照射4週後まで行ったが、やはり有意差は得られなかった。また、照射4週後の病理学的変化においてもアスコルビン酸投与群と非投与群との間に明らかな差は認められなかった。すなわち、アスコルビン酸が晩期放射線肺障害の有効な防護剤になり得るという確証は得られなかった,アスコルビン酸投与期間などに課題が残されたものと考える。
|