1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌下顎骨浸潤例の腫瘍および骨シンチグラムの重ね合わせによる比較検討
Project/Area Number |
10671902
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
瀬川 清 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (20196934)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 腫瘍シンチグラフィー / 骨シンチグラフイー / 手術 / 再発 / 予後 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌の下顎骨への浸潤は,X線写真,CT,MRIなどでほぼ把握できるが,それらで判定できない場合Tc-99mによる骨シンチグラフィーが有用である。一方,Ga-67による腫瘍シンチグラフィーは通常,頭頸部癌の腫瘍シンチとして用いられている。下顎骨浸潤を認めるかまたは疑われる口腔領域扁平上皮癌症例の骨シンチグラムと腫瘍シンチグラムとを比較し、それらの集積と腫瘍再発および患者の予後との関係を検討した。1987年から1997年までに当科で加療した口腔領域扁平上皮癌のうち,下顎骨の吸収が認められるかまたは疑われ,骨シンチと腫瘍シンチグラムが撮影された25例を検討し,以下の結果を得た。部位では,下歯肉癌が16例,口底癌が3例,頬粘膜癌が2例,下顎の顎骨中心性扁平上皮癌が4例であった。下顎骨の手術は、辺縁切除が11例、区域切除が9例、片側切除が4例であった。また、1例は放射線療法と化学療法で治療されていた。治療後に再発した4例は、治療前の骨シンチ、腫瘍シンチともに集積していた。再発例の下顎骨の手術方法では辺縁切除が2例、片側切除が1例であった。また、1例は非手術例であった。手術例のうち病理組織学的に下顎骨への浸潤が認められなかったものは2例で,骨シンチグラムの集積を認めたが,腫瘍シンチグラムでの集積はなかった。X線写真での下顎骨の吸収部位には腫瘍シンチが集積し,周囲の残存骨に骨シンチが集積していた。また,再発した辺縁切除の2例を除いて,下顎骨下縁まで骨シンチが集積していた症例に対しては区域切除が行われていた。現病死した4例中2例は,腫瘍シンチの集積が高度であった。以上より,Tc-99m骨シシチグラムとGa-67腫瘍シンチグラムの集積像との比較検討は、下顎骨浸潤口腔扁平上皮癌に対する手術法の選択および術後の腫瘍の再発や患者の予後の推測に有用と考えられた。
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