1998 Fiscal Year Annual Research Report
老人福祉施設で閉じこもり状態で過ごす高齢者の生きがいに関する研究
Project/Area Number |
10672209
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
多田 敏子 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30127857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑村 由美 徳島大学, 医療技術短期大学部, 助手 (90284322)
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Keywords | 高齢者 / 生きがい / 生きがい感 / モラール / 生活満足度 |
Research Abstract |
平成10年度は、研究を3年間で統合する体制を整えるために、本研究のテーマに関連した研究の基盤となる人間関係形成の過程、生きがいおよび質的な分析方法について文献研究を行った。日本看護関係文献集、日本保健関係文献集、医学中央雑誌、雑誌記事目録、Annual Review of Nursing Reserch、Psychological Abstract、Nursing Research Index、MEDLINEにおいて過去5年間(1994年〜1998年)の文献検索および検討を行った。文献検索に当たり、使用したキーワードは、和文においては、高齢者、生きがい、生きがい感、主観的幸福感、生活満足度、モラールであり、英文では、elderly people、elderly person、successfu11 aging、subjective well-being、morale、life satisfaction、life worth livingであった。その結果、以下のことが明らかになった。 (1) 上記のキーワードで抽出された論文は、医学、心理学、社会心理学、教育学、老年学、保健学、看護学等、の領域にわたっていた。 (2) いずれの領域でも生きがいに関する研究の重要性は、提唱されていた。 (3) しかし、生きがいの定義は、現在のところあいまいであり、概念として明確になっていなかった。英語では、「生きがい」に対応する言葉がなく、英文でも生きがいを意味する表現は様々であり、学問領域における統一性も見られなかった。 (4) 論文の対象者の大半は高齢者であり、老年期における生きがいの重要性が示唆された。しかし、健康な高齢者を対象としたものが多く、ADLや身体機能との関連から生きがいを捉えているものが、国内外共に多かった。 (5) したがって、生きがいを捉える尺度も多様であり、また、尺度を用いることの意義を問題提起する論文も見られた。 (6) 看護学の領域においても、生きがいに関する定義はあいまいであり、高齢者を対象に研究したものが多かった。また、「希望」に焦点を当てた研究が近年見られ、生きがいに関連した新しい概念を意味するものと考えられた。 なお、以上の成果は、第5回日本看護福祉学会で発表する。
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