2001 Fiscal Year Annual Research Report
現代のこども達の生活リズムの乱れが心身の健康に及ぼす影響
Project/Area Number |
10680111
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
神川 康子 富山大学, 教育学部, 教授 (50143839)
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Keywords | こども / 睡眠・覚醒リズム / 夜更かし / 問題行動 / 生活の悪循環 / 心のブレーキ(抑制活動) |
Research Abstract |
本年度は、これまでに行ってきた小学生から大学生までの、睡眠に焦点を当てた生活実態調査の結果と、生活実態観察・実験の結果を整理した。これをもとに成長期のこども達の睡眠・覚醒リズムの問題点と悪循環を明らかにし、この内容の検証・確認を県内外の小学校から高校までの保健室に勤務する養護教諭やPTAの父兄等を通して行った。 こども達に起こりがちな悪循環とは「夜更かし→自立起床ができない→朝食が食べられない→排便不規則→朝からでも疲れている→疲れたが口癖→学校であくび・居眠り→忘れ物→些細なことや訳もなくイライラ→昼間の活動量が低下→夜寝付きが悪い→夜更かし→」の繰り返しで、どこかでこの循環を断ち切るための生活の見直しが必要であると考えられる。そこで、これまでの研究の成果を踏まえて、つぎのような提案を行い、県内外の小、中、高校や、市町村の研究会、講演会でこども達の生活改善を促した。 提案1:「寝る子は育つ」は睡眠中の成長ホルモンの働きにより保障されるものであるから成長期におけるこどもの心身の成長に睡眠は重要な役割を果たすということを、こども自身はもとより、親、教師も知ることが必要である。 提案2:夜更かしは小学校高学年頃から徐々に始まり、中学生頃に顕著になっていく傾向とともに、情緒の安定性にも影響がみられるので、親や教師の生活指導にもこれらの観点が必要である。 提案3:生活リズムの乱れを早めに修正していくためには、「(1)少しずつでも就寝時刻を早める(2)休日でも起床時刻だけは大幅に変動させない(3)朝目覚めたら、できるだけ自然の光を浴びること(4)毎日、少し汗ばみ体温が上昇するような運動をする」等が有効である。 提案4:こどもの生活リズムだけを修正しようとしても困難であるので、こどもの発達段階に合わせて、こどもの就寝時には静かにする、寝る少し前から照明を暗くし始めるなどの配慮と協力をすることが効果的である。
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