1998 Fiscal Year Annual Research Report
運動前野と前頭前野の冷却による小脳外側核ニューロンの発射活動の変化
Project/Area Number |
10680763
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
陣内 皓之祐 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80127026)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊地知 義親 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50106829)
|
Keywords | 小脳外側核 / 視覚性応答 / 運動前野 / 前頭前野 |
Research Abstract |
9年度の実験により、サルの前頭前野(PF)と運動前野(PM)の両方の電気刺激に応答を示す単一小脳核ニューロンは、光刺激を手がかりとする認知運動課題において、短潜時の視覚性応答を示すことが判ってきた。視覚性応答がどちらの皮質領野からの入力に依存するかを調べるために各皮質領野の冷却による同応答の変化を観察する計画に基づき、10年度は、冷却実験用サルの課題訓練を開始した。これと併行して上記の記録実験を継続し、組織学的検索を行った結果、以下の知見が得られた。 1. 外側核の最後尾1/4に位置するニューロンはPFとPMのみから、その前の1/4区分に位置するものは両野に加えて運動野からも、外側核前1/2のニューロンはPMと運動野のみから入力を受ける。 2. 短潜時視覚性応答を示すニューロンは小脳外側核の後1/2に局在し、視床VL核の吻背内側部により多く投射する(同部の刺激に低閾値逆行性応答を示すものが多い)。 VL核吻背内側部は、PMにも投射すること、PMには視覚性応答を示すニューロンが多数存在することが知られているので、PF、あるいはPMから小脳へ送られた視覚情報は、外側核尾部から視床を経て、PMに送り返される可能性が高い。この回路は、随意運動の実行よりも、外界の状況に合った運動パターンを選択することに関与するのではないかと想像される。 冷却実験については、一頭目のサルが昨年末に死亡したため、二頭目のサルを訓練しほぼ完了したところである。冷却槽、冷温水の配管切り替え装置などの準備は完了しており、今後、MRI撮影、電極刺入点の決定を行い、約二カ月後には電極、冷却槽の取り付け手術を行う予定である。
|