1998 Fiscal Year Annual Research Report
銅酸化物高温超伝導体の単結晶中の超音波の音速・吸収
Project/Area Number |
10740174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒井 毅 九州大学, 理学部, 助手 (20274425)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 超音波 / 音速・吸収 / ビスマス2212 / 単結晶 / TSFZ |
Research Abstract |
(1) 超音波測定系の製作と銅酸化物高温超伝導体単結晶の予備測定 本年度は、超音波2重パルス重畳法による音速の精密測定とパルスエコー法による吸収の同時測定システムを作製を重点とした。現在、我々の作製したTSFZ法によるビスマス2212銅酸化物高温超伝導体の単結晶を用いて、予備測定と各種パラメーターの最適化を進めている。音速・吸収の値からは良質な結晶であり、超音波測定は可能であることがわかった。一方で、高精度の測定は、かなりの測定パラメーターの最適化を行うか、単結晶の質のさらなる改善が必要とわかった。残念ながら今年度は温度変化測定、磁場変化測定まで至らなかった。 (2) 酸素量制御によるキャリアー密度制御 単結晶試料中の酸素量を制御するための電気炉とガス雰囲気制御系を製作した。酸素量制御は、文献値の温度、酸素分圧を用い試行したが、制御できていない。結晶の質に大きく依存すると考え、我々の作製した試料に合わせた条件を模索している。 (3) TSEZ法による単結晶作製の改善 通常の成長法に加え、種結晶とネッキングを試行した。その結果、大形の単結晶が得られた。ネッキングから予想される溶融帯の最適組成からのズレが、結晶成長の安定性や育成結晶の質に、大きな悪影響を与えると懸念していたが、X線回折、電気抵抗測定では大きな悪影響は無い。この点に関しては超伝導特性や組成分析、構造解析などから、さらに詳しい評価の途中である。
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