2011 Fiscal Year Annual Research Report
「母」として生きること―北インドの巡礼空間における女性修行者の日常的ケアを中心に
Project/Area Number |
10J04323
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱谷 真理子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宗教 / ジェンダー / 地域研究 |
Research Abstract |
本年度は、4月から7月までフィールドワークに向けての調査準備・文献調査をすすめ、8月から北インド・ウッタラーカンド州アルモーラー地区で調査を開始した。当初、ヒマーラヤの村落や巡礼地で暮らす女性修行者たちを対象に調査を実施する予定だったが、当該地域には女性修行者の数が少なくそれぞれ離散しているため調査が困難であることがわかり、巡礼都市ハリドワール郊外に拠点を移した。その後、数か月間アーシュラム(修行道場)での参与観察調査、当該地域におけるアーシュラムのサーベイ調査、アーシュラムとその近辺に暮らす女性修行者を対象に聞き取り調査などを行ってきた。それによって、郊外の地域社会における急激な社会変容の過程やそこでの修行者・弱者を対象とする新たな施食システムのありよう、女性修行者の移動と定住の過程、彼女たちの修行と家庭生活、ジェンダー関係などが明らかとなってきた。現在、博士予備論文の成果及びこれまでの調査で得られたデータをもとに、女性修行者の母性とフェミニズムについて論文を執筆、投稿の準備をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおり、語学の習得、調査地域の文化社会のありようの把握、女性修行者との関係づくり、アーシュラムでの参与観察調査の実施など、フィールドワークはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで女性修行者の家庭生活や地域社会での共生のありかたに注目してきたが、今後は日々の修行実践や師弟関係・修行者社会とのかかわり方、及び社会奉仕活動と女性運動の結び付きなどに着目し、女性修行者の生き方を明らかにしていきたい。また、論文やワーキングペーパーの作成をすすめ、博士論文執筆に向けて準備をすすめていく。
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