2011 Fiscal Year Annual Research Report
明治・大正期輸出振興政策下の刺繍工芸品に関する研究―日欧交流の視点から―
Project/Area Number |
11J01523
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松原 史 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 染織 / 刺繍 / 工芸 / 輸出工芸 / 図案 / 明治 / 近代 |
Research Abstract |
近代刺繍の実態を包括的に明らかにするため、国内外の刺繍作品の把握および実見調査を行った。また並行して作品の分析および目録、文献調査を順次行った。以下それぞれについて簡潔に述べる。 【刺繍作品調査】 在外作品調査において、イギリスのアッシュモレアン美術館の作品3点ならびに美術商の方々の刺繍コレクション約40点を確認した。また、イギリスの3大オークションカタログ(クリスティーズ、ザザピーズ、ボナムズ)のバックナンバーを調査し(継続中)、現在までに約100点の刺繍作品の存在を確認することが出来た。国内所在作品に関しては、高島屋史料館(継続中)、女子美術大学美術館、椎野正兵衛商店、東京国立博物館、東京芸術大学大学美術館、鍋島報敷会の所蔵作品の調査を行い、宮内庁三の丸尚蔵館ならびに千總資料館の展示を展示変えごとに出来る限り観覧した。以上の調査・観覧により、あわせて約40点(女子美卒業制作作品も含めると100点強)の近代刺繍作品を実見することが出来た。 【その他文献調査および情報収集等】 内外博覧会関連資料の把握および読み込みを継続して行うとともに、横浜開港資料館において旧居留地に関する文献調査を行った。また9月に東京文化財研究所で行われた、染織に関する保存修復シンポジウムに出席し、見識を深めるとともに情報収集に努めた。その結果、新たに北京、インド、アメリカに刺繍の所在が確認できた。 【資料分析】 資料調査の傍ら資料分析も行った。高島屋史料館所蔵の『明治年間刺繍参考晝集』(現存10冊)と、現存作品並びに高島屋貿易部の製品写真を比較分析して、図案に見る東西文化交流の様子に関して考察した。その成果を、関西大学文化交渉学研究教育拠点主催の第4回次世代国際学術フォーラムで発表し、論文にもまとめた。 すべての研究・考察の基礎となる作品把握ならびにその調査が想定以上に進展しているという点で、研究は順調に進んでいると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内所蔵の近代刺繍作品の所在確認および実見調査は、計画以上に順調に進んでいる。在外作晶の情報収集および実見調査に関しては、本年度予算保留期間があった影響でやや遅れているが、来年度以降巻き返しが可能と考える。作品分析および文献調査も順次行っており、研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、引き続き内外刺繍作品の所在確認および実見調査を実施するとともに、順次作品の分析ならびに目録、文献資料調査も行っていく。平成24年度は欧州に滞在しての大規模な在外刺繍作品調査を行う予定である。その際、新たに作品の所在が発覚した北京、インド、アメリカ在中作品の調査も行う方向で可能性を探っている。また23年度に出席のかなわなかったヨーロッパ日本資料専門家協会年次大会への出席および発表も可能ならば行う方向で調整する予定である。
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Research Products
(2 results)