明治・大正期輸出振興政策下の刺繍工芸品に関する研究-日欧交流の視点から-
Project/Area Number |
11J01523
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
芸術学・芸術史・芸術一般
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松原 史 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2013: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 刺繍 / 染織 / 輸出工芸 / 近代 / 図案 / 明治 / 職人 / 工芸 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、当時国内外で高い評価を受けていたにも拘らず現在あまり世に知られていない近代刺繍の実態を包括的に明らかにするため、国内外の刺繍作品実見調査および文献調査を行った。昨年度に引き続き、一年を通じて基本資料となる現存作品の調査および関連資料の収集を行うとともに、継続研究最終年にあたる本年度は、特に現在までに蒐集した資料の分析・考察に重点を置き、近代の刺繍の実態、日欧交流の諸相に関して考察を進めてきた以下それぞれに関して主な事柄を簡潔に挙げる。 【作品調査】 国内では清水三年坂美術館の新収蔵品ならびに個人蔵作品の調査を行い、刺繍制作に関わる職人への聞き取り調査も行った、また在海外資料に関しては、9月-10月に渡欧し、イギリス、ポーランド、スイス、スペイン、フランス、トルコの刺繍作品ならびに関係資料に関して調査を行い、適宜担当学芸員、コンサバターと意見交換を行った。トルコでの調査の結果はH26年6月のトルコに於ける研究集会で、スイス調査の結果に関しては12月のスイスに於けるシンポジウムで発表予定である。 【資料分析・発表】 刺繍の担い手に関して、京都市盲唖学校所蔵の資料調査結果を、「明治期の職工教育―刺繍工と町衆―」として近世京都学会において発表した。また蒐集した資料の分析・考察を、一年を通じて行ってきた。 前年までに築いてきた情報網の結果か、今年度初めに新たに海外の収蔵品情報用や流通の別ルートを伺わせる作品の情報が入ったために、当初の計画より調査自体に注力することとなり、結果として今年度中に発表を予定していた論文・英語論文に関しては、来年度に持ち越すことになってしまった。しかしながら本研究が、既存研究がない分野に取り組み、基礎資料の蒐集からはじめて三ヶ年でここまでの規模の調査研究を実施し、また各国からの調査依頼や発表依頼を受けるまでに分野として存在が認められてきた事は、大変大きな成果であり、意義のあることであったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近代の刺繍に関して、実例をともなった形でその実態が明らかになってきており、研究自体は大変順調に進展しているといえる。ただ、調査を重視しその規模を広げたがために、論文という形式での発表が今年度中に行えなかったことは残念であった。分析自体は順調に進んでいるので、来年度なるべく早い段階で論文という形で夜に発表できたらと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、本年度までに行った調査研究の成果を、日英両言語の論文という形でしっかりと発表していく。その上で、今後とも輸出刺繍に関して研究を継続し、日欧関係にとどまらない近代におけるグローバルな流通の萌芽を考察していければと考えている。欧州に限らず、アメリカやロシア、アジアにおいても日本刺繍作品調査を行い、作品の適切な保存を呼びかけるとともに、世界中に散らばる日本刺繍作品の分布図を作成し、近代のテキスタイル流通に関して明らかにし、最終的には良質な作品を集めた展覧会開催を目指したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)