2011 Fiscal Year Annual Research Report
システムバイオロジーのためのマイクロバイオデバイスの開発
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11J09906
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内藤 豊裕 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マイクロ化学チップ / マイクロ流体 / システムバイオロジー / 細胞培養 / 温度応答性バルブ |
Research Abstract |
反応時に必要な熱を利用した自動閉鎖型バルブの改良と細胞培養デバイスの開発を行った。これまでに申請者開発してきた熱を利用した自動閉鎖型バルブは、60~70℃で作動し始める状態であり,PCRを始めとする酵素反応へ適応可能なバルブへの応用のため、バルブ開閉温度をさらに下げることと,反応場を密閉できるデバイス設計の考案について研究してきた。このバルブは薄膜をバルブの弁として用いるダイヤフラム型のマイクロバルブであり,その膜変形は流路の深さ、アクチュエータチャンバーの体積、膜の厚みなどに依存すると考え、構造力学における両端固定梁の等分布荷重モデルの計算式と蛍光顕微鏡による流路内の構造変化観察を行うことで解析した。両端固定梁のモデルは薄膜の変形によく一致しており,薄膜変形の近似式として用いる事で,パラメータ変化に対してのバルブ性能評価を定量的に行えることが分かった。実際に温度,マイクロ流路の流路幅,圧力印加チャンバの体積を変化した際の薄膜変形を評価したところ,気体の状態方程式と構造力学の知見から薄膜の変形を予測する事が分かった。また,その予測をもとに反応場を密閉すためのデバイス設計・開発にも成功した。また、細胞培養デバイスについては,一度マイクロ流体デバイス外に排出した溶液を再び同じマイクロ流路に導入する事で形成する逐次的2層流の形成に成功し,流路内を満たす溶液の交換を迅速に行うための基盤技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていた温度応答性のバルブの動作温度の目標温度には到達していないが,目標温度到達にむけたモデル式が実際の実験系に適応できる事を明らかにしており,各パラメータの膜変形への寄与について理解を深める事ができたため,計画に対しておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養デバイスの開発とモジュール化のためのインターフェース開発を行う。細胞培養デバイスは申請者がこれまでに開発してきた細胞回収デバイスを23年度開発した環流デバイスに組み込み,機能する事を確認する。また,モジュール化のためのインターフェース開発に関しては,デバイスの材料について検討したり,電源や他デバイスを簡易的に集積したデバイスの開発を行う。
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Research Products
(14 results)