2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス発生工学的手法を用いた慢性関節リウマチ発症関連遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
11J09956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢部 力朗 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子改変マウス / 関節リウマチ / 自己免疫疾患 / C型レクチン |
Research Abstract |
関節リウマチは、軟骨・骨の周りの組織が炎症を呈し徐々に関節が破壊される難治性の自己免疫疾患の一つである。サイトカインを主徴とする免疫系の重要性が病因としてクローズアップされているが、近年の研究進歩におり、多様な遺伝子の関与が報告がされてきた。我々は、C型レクチン受容体(CLR)に焦点をあて、発症および病態形成機構を総合的に理解することを目的とし、以下の2テーマについて進行中である。 (i)DCIRの免疫制御に関わるリガンドの同定 DCIRは細胞外ドメインに糖鎖認識ドメイン(CRD)を有する抑制性C型レクチン受容体である。これまで我々は、DCIR欠損マウスを作製し、付着部炎から自己免疫疾患症状を示すことが見出している。しかしながら、これまでDCIRが媒介する免疫制御分子についてはこれまで不明であった。そこで、DCIR細胞外ドメインFc融合タンパク質(DCIR-Fc)を調製し、DCIRリガンド発現細胞の探索を行づた。20種のプライマリ細胞のスクリーニングの結果、1種の細胞との結合が検出された。その後の詳細な解析により、CRDを介した結合であることがわかった。以上の結果は、DCIRを介した自己免疫制御機構解明の糸口になると考えられる。 (ii)関節炎発症候補遺伝子として見出された他CLRの自己免疫疾患への作用機序解明 DCIR以外に、本研究では関節リウマチを中心とした自己免疫疾患に関与すると推定されるCLR遺伝子改変マウス作製している。ターゲティングベクターのデザインおよび作製・調製、遺伝子改変ES細胞のスクリーニング・取得、キメラマウスの作製、ジャームライントランスミッションの確認を行った。現在、ヘテロ/ホモ遺伝子欠損マウス作製に向けて準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、マウス発生工学的手法を用いて、関節リウマチ発症関連遺伝子ノックアウトマウス作出を主目的としている。当初の計画通り、ターゲティングベクターの作製、遺伝子改変ES細胞の取得、キメラマウスの作製、ジャームライントランスミッション、と順調に進捗している。また、共同研究先とDCIRリガンドのスクリーニング伝その評価を細胞レベルで現在解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
東京大学医科学研究所から東京理科大学生命科学研究所への研究拠点変更に伴う実験機器・設備の移設により、研究進捗が遅延する。また、遺伝子改変マウスも同様に移送しモニタリングするため、支障を来すことは避けられない。スタッフ・学生が一丸となり入念な準備・引越しを実施し、研究進捗遅延を最小限にとどめる予定である。 マウスモニタリング分析で問題がなかった場合、研究計画に従い順次解析を進めていく。一方、感染等が発覚した場合は、即時に研究計画を練り直し、最大限の研究課題を推進していく予定である。
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