2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウス発生工学的手法を用いた慢性関節リウマチ発症関連遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
11J09956
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
矢部 力朗 東京理科大学, 生命医学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子改変マウス / 関節リウマチ / 自己免疫疾患 / C型レクチン |
Research Abstract |
近年、関節リウマチ(RA)の病態解明が進み、腫瘍壊死因子(TNF-alpha)、インターロイキン-6(IL-6)などの炎症性サイトカインの作用を抑制する生物製剤が開発され、RA患者の寛解が認められるようになってきた。しかしながら、これら治療戦略はすべての患者に対し効果的ではなく、さらなるRA病態の解明およびそれに従った治療薬の開発が求められている。これまでの研究から、一部のC型レクチン受容体(CLR)がMの病態形成に重要な役割を果たすことが明らかになっている。本研究では、CLRにスポットをあて、発症機構および病態形成機構を総合的に理解することを目的とし、以下の2テーマについて進行している。 (i)DCIRの免疫制御に関わるリガンドの同定 DCIRは、細胞外ドメインに糖鎖認識ドメイン(CRD)を有するとされるが、その糖鎖認識機構については不明のままであった。一方、DCIR欠損マウスは自己免疫疾患症状を示すことが見出している。これらのことから、DCIR標的分子とした治療戦略を考慮し、糖特異性を明らかにした。現在、細胞レベルでの評価解析を行っている。これらの知見は、DCIRを介した自己免疫制御機構解明の糸口になるではと考えられる。 (ii)関節炎発症候補遺伝子として見出された他CLRの自己免疫疾患への作用機序解明 本研究では関節リウマチを中心とした自己免疫疾患に関与すると推定されるCLR遺伝子欠損マウスの作製している。本年度は、ジャームライントランスミッションからヘテロマウスを作出し、その後、ホモ遺伝子欠損マウスを作製した。これらホモ遺伝子欠損マウスに対し、関節リウマチモデルであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)を実施、生理条件下における役割を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、前年度から引き続きジャームライントランスミッションマウスを得、F1マウスの交配によりホモマウスを作出した。創出したマウスに関節リウマチのモデルであるCIAを実施し、評価した。これらは当初予定していた研究計画通りである。また、DCIRリガンドを特定し、さらに細胞レベルでの評価を現在進行している。これらは引越しに伴う共同研究者らとの連携関係により予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
東京大学医科学研究所から東京理科大学生命科学研究所への研究拠点変更に伴う実験機器・設備の移設により、研究進捗が遅延すると予想された。実際、遅延は認められたが、最小限にとどめた。 また、マウス移動に伴うモニタリングの結果についてもすべて陰性だったため、大幅な研究計画の進捗の遅れはなかった。今後、研究計画どおり、順次遂行する予定である。
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