2011 Fiscal Year Annual Research Report
重度身体障害者の安定した在宅生活構築のために―独居難病者への支援活動を通して
Project/Area Number |
11J09981
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長谷川 唯 立命館大学, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ALS(筋萎縮性側索硬化症) / 自立生活 / 重度障害者 / 地域生活 |
Research Abstract |
今年度は、これまでの活動から得られた成果を、学会や学術誌でポスターや論文として発表し、さらに博士論文としてまとめ提出した。 1、学会発表 地域福祉学会と難病看護学会で発表を行なった。報告を通じて、現場で活動する支援者や専門職と活発な意見交流を図ることができた。学会に参加して様々な報告を聞き、議論する中で、ボランティアで行なった/行なわざるを得なかった支援内容が制度の隙間をカバーする仕事であったことが共通点として得られ、重要な点であることがわかった。本研究で、制度外の人間であっても報酬が得られる仕組みを主張するために、重要な見解を得られた。また、難病看護学会では奨励賞を受賞することができた。 2、論文 立命館大学大学院先端総合学術研究科の『Core Ethics』に論文を投稿した。そこでは、難病相談・支援センターの役割と実際の支援活動をから、地域の難病患者が抱える課題について検討した。また、これまでの活動を博士論文としてまとめ、「重度障害者の安定した地域生活構築のために-ALSの人の独居生活支援活動を通して-」を提出した。最重度の難病であるALSを対象として、その人たちの在宅生活に資する重層的なサポートを探り、制度化の基盤となる情報として提示することを目的とし、その支援内容を考察した。対象とした進行性難病を患う重度障害者は、生活の主体者になりきることが難しく、日々の介助体制が構築されていても、調整役が必要な場合があるが、現状では身近な支援者がボランティアで行なわざるを得ない。制度外の支援者の働きを認め、有償にし、立場を明確にすることが必要であり、それは家族が抱える多大な負担を軽減する体制を用意することにもつながると結論付けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多くの場でその成果の報告を行ないながら、本学の「博士(学術立命館大学)」の学位を取得した。この点において評価をしたい。博士論文では、これまでの先行研究を踏まえその限界を示した上で、活動経験から具体的な問題点を摘出し、そこから幾つかの改善案の提起を行なった。今後の研究にもおおいに期待できる。よって当初の計画以上に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
博士論文で示したことを具体化するために、これからの研究では、重度の障害を持つ人たちが地域生活を継続していくために、現在は身近な支援者がボランティアで行なわざるを得ない制度のすきまを埋める役割について、どのように位置付けていくのか、活動を通して実践的に検討していく。具体的には、支援活動を継続し地域生活を営むために必要な支援内容について、制度化に結びつく情報として必要な人的・物的資源とともに明らかにし提示することを目的に研究を進めていく。
|