2011 Fiscal Year Annual Research Report
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11J09998
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
青山 晋 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 鞭毛 / ダイニン / 微小管 / MEMS |
Research Abstract |
真核生物の鞭毛は、規則正しく配列した複数の微小管を基本骨格とし、モーター蛋白質のダイニンの発生する力で運動していることが知られている。しかし、その運動メカニズムは未だに分かっていない。私は、微小管とダイニンを他の構造と共に組み合わせることで鞭毛特有の運動を人工的に作り出し、それによって鞭毛運動の仕組みを明らかにしたいと考えている。 鞭毛運動を作り出すに当たって、まず骨格となる微小管の配列を作る必要がある。本研究では、微細加工技術を使って一方の塞がったトンネル状構造をガラス基板上に作り、キネシンの運動性を利用して、そこに微小管を引き込んだ。その微小管からさらに微小管を重合させることで、方向の揃った微小管配列を作ることに成功した。 次に、作製した微小管に鞭毛ダイニンを結合させ、運動性の有無を確認したところ、不規則ながらも微小管間で振動的運動が見られた。ただし、この系ではダイニンと微小管の相互作用の方向がランダムなため、厳密に方向付けがなされている実際の鞭毛内の系を再現できているとは言い難い。 そこで、鞭毛内の系と同じように、ダイニンの微小管への結合の方向性を揃えて運動を発生させる試みを行った。ダイニンを結合させた微小管を別に用意しておき、それをトンネル構造に引き込んで配列させた微小管と相互作用させた。そうしたところ、微小管間において高い再現性で結合・解離の繰り返し運動が見られた。このようにして、鞭毛内の微小管・ダイニン配置を再現し、それによって安定して運動を作り出せることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の計画は、微小管の配列方法を確立させることが中心であったため、順調に進展していると言える。作製した微小管配列にダイニン組み合わせて運動性を調べ、この微小管配列が今後の研究においても有効に使えることを確かめられたのは良かった。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の鞭毛では、微小管同士が大きく解離しないように、それらの間が伸縮性のある蛋白質で繋がれていることが知られている。それによってダイニンの発生する運動が屈曲に変換されていると考えられている。このことを実証するため、作製した微小管配列において微小管間をゆるく繋ぎ、結合解離運動を屈曲運動に変換させることに挑戦したいと考えている。
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Research Products
(2 results)