2011 Fiscal Year Annual Research Report
「新しい労働運動」における社会的連帯の可能性-多国籍労組Gユニオンを事例として
Project/Area Number |
11J10197
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中根 多惠 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 個人加盟ユニオン / 新しい労働運動 / 社会運動論 / 労働社会学 / 都市拠点型ユニオン / コミュニティ・ユニオン / 組織化論 / 労働組合 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、2012年2月と5月には日系ブルーカラー労働者を組織する個人加盟ユニオンを対象に専従および外国人組合員6名にヒアリング調査をおこない、「工業地域拠点型ユニオン」と比較しながらGユニオンの「都市拠点型」的特徴を明らかにすることを試みた。これまでは工業地域ではたらき集住する移住労働者たちを組織するコミュニティ・ユニオンの事例研究によって、コミュニティ・ユニオンがいかに地域とのかかわりを深めるのかという論点が強調されがちであったが、本研究ではその論点ではすくいとれない、Gユニオンの事例を取り上げることによって、ある特定の地域を超えて都市横断的に運動を展開するための条件を導出することを試みてきた。結果として、本事例からは、個別の相談が来るのを待つスタイルではなく(1)HPでの情報発信、マスメディアやビラ配りを積極的に利用した外への印象づけ、(2)特定の個人・地域・企業にとどまらない統一的なイシューをかかげた運動体どうしの連帯、が運動にとって重要な論点であることがいえるのではないかと示唆することができる。この2条件はどちらもユニオンの外に向けた活動といえるが、この側面は多くの個人加盟ユニオンにとってなかなか克服できない大きな課題となっている。本研究で取り上げたN社破たん時の運動では、さらに(3)もうひとつの被害者層(ホスト社会側のアクター)との連携に成功したため、社会保険キャンペーンや他の企業の破たん時よりも運動のインパクトが大きくなったのだろう。今後は、地域密着型のコミュニティ・ユニオンによる活動と並行して、地域を超えたひろがりをみせながら大きく展開するユニオンの活動を模索していくことも必要になってくる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた個人加盟ユニオンの質問紙法調査が、先方の都合により実施できなくなってしまった点である。この点以外は順調に調査・報告を遂行することができ、23年度の研究計画を終えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
23年度の研究計画上の調査は、上記の質問紙調査以外はすべて終了することができた。
|
Research Products
(1 results)