2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たな波形インバージョンを用いた太平洋下のCMB超低速度領域の解明
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11J10283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入谷 良平 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内核 / 地震波減衰 / simulated annealing / 広帯域地震波データ |
Research Abstract |
・Simulated annealing(SA)を用いた地震波解析手法の改良 自ら構築したsimulated annealingのアルゴリズムに基づく地震波解析手法を改良し、核を通る波であるcore phaseにしか対応していなかったものを他のphaseにも適用可能で、解析準備作業も削減させ、半自動的に解析することが出きるようになった。 ・グローバルな内核減衰・速度構造の推定 グローバルな地震観測網で観測されたcore phaseデータの解析を行い、内核東西半球に対する減衰・速度構造を推定した。結果としては、得られた減衰パラメータは同半球内において、解析領域ごとの顕著な違いは見られず調和的な傾向を示した。これは得られた結果が局所的な構造ではなく、東西半球の代表的な構造を反映していることを示唆している。そして、得られた減衰パラメータを用いて一次元減衰構造の推定を行った。推定した減衰構造は、西半球に関しては、内核表層から徐々に減衰が強くなり、深さ150~250kmで最大値を持つ傾向が得られた。東半球に関しては内核表層200kmで強減衰領域を持つ構造が得られた。また、両半球において200km以深では徐々に減少する傾向を示した。この結果から内核の東西半球構造の深さ依存性は、減衰構造に関して、内核表層から約200kmにおいて顕著な半球不均質構造が存在し、200km以深では同様な構造が広がっていることが示唆された。先行研究において、減衰構造の深さ依存性に関しては、core phase解析の複雑さから高解像度な結果は得られていなかったのに対し、本研究では、SA地震波解析手法を適用することで、複雑に重なり合ったcore phaseデータの解析を可能にし、解像度の向上に成功し、代表的な内核東西半球に対する一次元減衰構造を推定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソフトの改良と内核減衰構造の研究を発展させ、グローバルデータの解析により内核東西半球の一次元構造の構築を行い、高解像度かつ連続的な一次元構造の推定に成功した。内核の物性や成長過程の議論において非常に重要な結果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
広帯域地震波データに対して得られた内核の一次元モデルが初期モデルとして有用かどうか理論波形を計算し検討する。その後、有根波長効果を考慮した波形インバージョン解析を適用し、推定した減衰・速度構造の改良を行う。
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Research Products
(3 results)