2012 Fiscal Year Annual Research Report
近世畿内の在地支配構造と村落社会-地域社会論・伝統社会論の視角から-
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11J10429
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
齊藤 紘子 大阪市立大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 陣屋元村 / 地域社会 / 伯太藩 / 村落社会 / 領主支配 / 和泉 / 相給村落 / 大和小泉藩 |
Research Abstract |
伯太藩における陣屋元村の成立過程について論文執筆を進め、その内容の一部は、3月に開催されたAAS学会(於米国サンディエゴ市)でのパネルディスカッション「Local History as a Method in the Study of Tokugawa Japan」における口頭報告でも取り上げた。このパネルは、近年の都市社会史研究、地域社会論、伝統社会論、身分的周縁論などの進展を踏まえ、日本近世史研究における方法論としての地域史の意義を深めるべく、マーレン・エーラス氏(ノースカロライナ大学シャーロット校准教授)が組織したものである。報告では、伯太藩の陣屋元村に関する具体例をひきつつ、その背後にある問題視角や分析方法について、(1)陣屋元村を分析する際に地域社会論・城下町論の双方を踏まえる意図、(2)近年アメリカの日本史学界でも少しずつ意識されつつある、「地域」や「場」に即した具体的な社会関係把握の重要性、(3)陣屋元村の形成過程から在地社会における「都市性」の萌芽過程を明らかにする意味などを指摘した。 また、当該地域における村落社会と領主支配の関係について、陣屋元村に隣接する泉州泉郡池上村(大和小泉藩・伯太藩の相給村落/今回の分析では、史料的な条件から大和小泉藩領に限定)を対象として、飢饉時における諸救済の構造や困窮者をめぐる社会関係を分析し、12月に開催された近世大坂研究会・大阪市立大学都市研究プラザ都市論ユニット・大阪市立大学大学院文学研究科都市文化研究センター共催の国際円座において口頭報告を行った。報告内容は、個別論文にまとめ直し、今年度末に刊行された円座の報告書に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、新たに領主支配の一側面として救済と村落社会の関係を分析する機会を得たことで、18世紀以降の村落の社会構造の実態や、村落社会の実態を踏まえた領主支配の特質について認識を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
泉州の伯太藩領を素材として、陣屋の成立過程と、陣屋元村を取り巻く郷・村落の社会構造・社会関係を取り上げてきた研究の成果と、その伯太藩領と入り組み、同地域に展開する大和小泉藩領を素材として、村落社会の実態から領主支配の展開・特質を明らかにしてきた研究の成果を踏まえて、当該地域の村落社会からみた領主支配の特質を総括する。
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Research Products
(3 results)