2012 Fiscal Year Annual Research Report
寄生蜂Pimplaの記憶と学習に基づく宿主探索行動解析とモデル-迅速な適応性
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11J10448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 真人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 動物行動 / movement ecology / Levy walk / 進化 |
Research Abstract |
捕食者存在下における探索行動の理論構築 動物の探索行動の研究において、動物は探索効率のよいLevy walkという振る舞いをするという予測がある。しかし、野外データの解析ではLevy walkだけでなく探索効率の悪いrandom walkも観察されることが報告されている。本研究の実施者はこの問題に対し、捕食者の密度や探索者の生活史といった生態学的な要素を導入し一般化することを目指した。そのため探索戦略であるLevy walkまたはrandom walkの適応度をコンピュータシミュレーションによって計算した。その結果、捕食者密度が高い場合にrandom walkが適応的な戦略であることが示された。さらに寄生蜂型または餌獲得型という生活史の違いも影響することが明らかになった。 ・捕食者回避行動の理論構築 動物の行動は簡単に予測できるものではないという経験的事実がある。しかし、このような予測のできなさやランダムネスを定量的に評価し、進化的な意義を問う研究はこれまでなされていない。そこで本研究の実施者は動物行動の予測不可能性を適応の観点から論じるフレームワークをつくり、理論構築した。捕食者回避行動においてLevy walk的な運動をすることが適応的であることをコンピュータシミュレーションによって示した。これまで動物行動学の分野でLevy walkは探索行動の一つとして捉えられていたが、捕食者から逃れる運動においても意義もつことを発見した点で重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
動物行動学においてこれまで扱われることが少なかった捕食者との相互作用に着目し、一般的な新しい理論を構築しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の動物を用いた実験とさらに複雑な個体間相互作用を記憶・学習を導入したシミュレーションに取り組むことを予定している。
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