2012 Fiscal Year Annual Research Report
腎薬物トランスポーターの寄与率に基づいた薬物間相互作用の定量的予測法の開発
Project/Area Number |
11J10986
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
伊藤 澄人 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MATE / プローブ阻害剤 / プローブ基質 / 薬物間相互作用 / 有機カチオン輸送系 / 尿細管分泌 / 定量的予測 |
Research Abstract |
医薬品の体内動態特性は標的分子への暴露を通じて、薬効・有害作用発現に影響を与える重要な要因である。トランスポーターは薬物の組織分布ならびに排泄経路の支配要因となることが明らかにされている。トランスポーターにより効率的な輸送が行われている一方で、薬物間相互作用が生じる要因ともなっており、トランスポーターの機能変動が全身レベルでどの程度の変動を生じるのかを推定することが医薬品開発過程で求められている。医薬品の体内動態特性を論理的に説明するため、また、トランスポーターを介した薬物相互作用を理解する上で、トランスポーターの薬物動態学上の重要性を解明することは、重要な課題である。 本研究では、cimetidineとの相互作用データに基づき、ヒト薬物動態、特に腎臓内動態におけるMATEの重要性を明らかにした。生体内リアルタイム共焦点顕微鏡を用い、マウス腎臓におけるPYRの阻害効果を検討したところ、PYR投与群において近位尿細管上皮細胞内でのASPの蛍光強度が増強されており、PYRとの相互作用がMate1の局在する部位で生じていることを明らかにした。マウスin vivoでMATE選択的阻害剤であるPYRとcimetidineの阻害効果を比較したところ、両阻害剤によりカチオン性薬物の腎/血漿中濃度比の上昇がみられた。Cimetidineによる阻害効果はPYR投与時と同程度であり、PYRとcimetidine併用により相乗効果も認められなかったことから、両阻害剤は同じターゲット、Mate1を阻害していることを明らかとした。 本研究の成果により、FDAの薬物間相互作用ドラフトガイダンスにMATEも追加される予定であり、本研究で得られた知見は、薬物動態におけるMATEの重要性を示すとともにより安全性の高い医薬品の開発に貢献するものと期待される。
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Research Products
(4 results)