2011 Fiscal Year Annual Research Report
振動子集団のネットワーク構造と同期ダイナミクスの関係を統一的に記述する理論の構築
Project/Area Number |
11J11148
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森 史 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 同期現象 / 結合振動子 / 周期の揺らぎ |
Research Abstract |
ノイズを受けた位相振動子の結合ネットワークにおいて、振動周期の揺らぎと同期ダイナミクスとの関係を明らかにした。 水晶振動子、スピントルク振動子、体内時計、心臓ペースメーカー組織など、正確なリズムを生み出す機構は、生物系、機械系問わず、様々な所で必要とされている。一般に、系にはノイズが存在するので、その周期は揺らぐ。Herzogらの実験によると、マウスの個体および時計組織(SCN)の日周期活動の開始時刻の間隔で計った周期の揺らぎは、終了時刻のそれよりも小さい。つまり、体内時計は、終了時刻よりも開始時刻の方を「より確か」に告げていると言える。このような時計の確からしさが時刻に依存して変化する現象は、単純な理論モデルで再現されるだろうか。このことを明らかにするために、ノイズが加えられた位相振動子の結合ネットワークを考えた。 1つの振動子の周期の揺らぎは、その周期の標準偏差(SD)で定量化される。線形化解析により、SDをチェックポイント位相の関数として求めた。これは数値的に得たSDと良く一致した。「最も確かな時刻」、つまり、SDの最小値を与えるチェックポイント位相は、ギャップ結合系では2振動子の位相同期の度合いが最も高い点と一致したが、非ギャップ結合系ではそれとは異なった。SDのチェックポイント依存は、単一の位相振動子では見られない、結合系特有の現象であることが示された。 以上のことは、富山大学で行なわれた日本物理学会秋季大会で口頭発表した。また、ベルリンで行なわれたThe International Conference "Engineering of Chemical Complexity"において、ポスター発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周期の揺らぎと同期ダイナミクスとの関係性は、これまではほとんど着目されてこなかった。新しい知見が得られ、また、国際会議でも発表できたことは、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、単純な結合ネットワークしか考えていない。今後は、より複雑な結合ネットワークを考え、その構造の特徴量が、周期揺らぎを同期ダイナミクスとの関係性にどのように影響を与えるかを明らかにする。
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Research Products
(2 results)