2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける転写抑制因子ATF3の抗炎症作用の解明と医学応用
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11J40078
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
蜂屋 瑠見 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 肥満 / 炎症 / ATF3 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの基盤病態の一つとして全身の軽度の慢性炎症が想定されている。我々は、肥満の脂肪組織において、転写抑制因子activating transcription factor 3(ATF3)が、飽和脂肪酸により活性化された炎症シグナル伝達系Toll-like receptor 4(TLR4)/NF-κB経路の負の調節因子として作用することを報告した(Circ.Res.105:25-32,2009)。本研究では、メタボリックシンドロームにおけるATF3の抗炎症作用の分子機構を明らかにし、ATF3の医学応用を目指す。初年度である本年度は、1)ATF3の病態生理的意義に関する検討として、マクロファージ特異的ATF3トランスジェニック/ノックアウトマウス(Mac ATF3-Tg/KOマウス)の解析を、2)ATF3の作用機構に関する検討として、これまでに同定したATF3結合分子である遺伝子発現抑制に関わるヒストンメチル化酵素XがATF3の作用にどのように関与するのかを検討した。1)Mac ATF3-Tg/KOマウスを用いて食餌性肥満モデルを作成したところ、Mac ATF3-Tgマウスでは脂肪組織の慢性炎症に対する抑制効果が認められたが、野生型マウスでは肥満により脂肪組織のATF3の発現が亢進した後も脂肪組織の慢性炎症は改善せず、Mac ATF3-KOマウスにおいてもATF3による炎症抑制効果は確認できなかった。この結果から、我々は、脂肪組織の慢性炎症では、むしろATF3機能不全が生じているために炎症が慢性化するのではないかという新たな作業仮説を打ち立てた。2)では、ATF3とXが炎症刺激依存性に結合することを免疫沈降法により確認した。また、Xを欠失した培養マクロファージでは、炎症性サイトカインの発現が亢進することを見出した。現在、クロマチン免疫沈降法、DNAマイクロアレイによりマクロファージにおけるXの標的遺伝子の探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の実施計画に沿って研究が進展している
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ATF3-X複合体の炎症抑制作用について、ATF3の炎症作用がXを介しているかどうか、急性炎症・慢性炎症における差異があるか、等について検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)