2011 Fiscal Year Annual Research Report
地震波干渉法による関東平野の3次元S波速度構造モデルの構築
Project/Area Number |
11J56272
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
地元 孝輔 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震波干渉法 / トモグラフィ解析 / シミュレーション / 微動 / S波速度構造 / 強震動予測 / 関東平野 |
Research Abstract |
関東平野において地震波干渉法を適用し3次元S波速度構造を推定するために、連続微動観測を実施し観測記録の地震波干渉法に基づいた相互相関解析により各観測点間の表面波群速度を推定し分散曲線を得た。この結果をもとに表面波スローネストモグラフィ解析を行い、その逆解析により3次元S波速度構造モデルを推定したところ、関東平野中央部では既往のモデルと調和的であった。地震波干渉法は既往の手法では困難な探査地域においても適用できることが長所のひとつとして挙げられており、そのため本研究においても難探査地域である関東平野端部の伊豆半島や相模湾において地震波干渉法を適用し、既往のモデルとの差異を確認した。特に平野端部は地震波に大きく影響することが分かっているため今後の強震動予測に有益な結果である。この結果は第124回物理探査学会学術講演会および日本地球惑星科学連合大会2011年大会、4thIASPEI/IAEE International Symposium: Effect of Surface Geology on Strong Ground Motionにて発表、「物理探査」第64巻5号に掲載された。 さらに地震波干渉法によるグリーン関数の再合成の可能性を検討するために、3次元FDMによる数値シミュレーションを行い、観測された相互相関関数と比較を行ったところ、多くの場合にシミュレーションと相互相関の到達時刻が一致することが分かった。また、観測点間距離が比較的小さい場合には両波形が類似したことから地震波干渉法のさらなる発展性を示唆する結果を得た。この結果は、9th International Conference on Urban Earthquake Engineering & 4th Asia Conference on Earthquake Engineeringにおいて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
地震波干渉法に基づく相互相関によるトモグラフィ解析およびその逆解析により関東平野のS波速度構造のモデル化ができた。さらに、数値シミュレーションによって地震波干渉法に基づきグリーン関数を合成する可能性を示唆する結果を得ることができ、研究のさらなる発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで地震波干渉法によって相互相関の到達時刻を抽出することができ、S波速度構造のモデル化に役立てた。今後は地震波干渉法によって振幅を含めたグリーン関数を抽出するためにシミュレーションによる結果と比較し検討をおこなう。さらに振幅に関する研究をすすめ、高精度な地下構造モデル化への地震波干渉法の適用可能性を探るとともに,適用限界についても定量的な考察を行う。
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Research Products
(5 results)