2001 Fiscal Year Annual Research Report
生物工学的手法に基づく組織指向性医薬資源の開発と応用
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12470503
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊藤 孝司 徳島大学, 薬学部, 教授 (00184656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 淳 徳島大学, 薬学部, 助教授 (90225318)
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Keywords | 遺伝性酵素欠損症 / 保護タンパク質 / カテプシンA / ガラクトシアリドーシス / セリンカルボキシペプチダーゼ / エンドセリン1 / ジーンターゲッティング / 組織指向性細胞株 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
遺伝子疾患、特に遺伝性酵素欠損症の治療にとって、正常な遺伝子あるいは酵素タンパク質を患者の障害組織にいかに選択的にかつ効率良く導入・発現させるかが重要課題の一つである。本研究では組織指向性医薬品の開発を目的として研究を進め、今年度は下記の成果を得た。 1.保護タンパク質/カテプシンA(PPCA)は、リソソーム内で糖質加水分解酵素の活性を制御する保護機能と、エンドセリン1(ET-1)などの一群の生理活性ペプチドを分解するセリンカルボキシペプチダーゼ活性を併せ持つ多機能性糖タンパク質である。ガラクトシアリドーシス(GS)は、PPCA遺伝子の変異の基づき、これらの酵素の複合欠損を伴い、中枢神経障害をはじめとする全身性症状を示す常染色体劣性遺伝病である。今年度はGS患者培養皮膚繊維芽細胞を用い、ET-1前駆体およびET-1受容体(ETAおよびETB)遺伝子の導入解析を行い、前駆体およびETBを同時発現するGS由来細胞ではET-1様免疫活性が過剰に蓄積することを細胞レベルで証明し、またアポトーシスが惹起されることを初めて明らかにした。 2.両対立遺伝子破壊に基づくヒトPPCA欠損病態モデル系を確立する目的で、ヒトアストロサイト細胞株に、ゲノムPPCA遺伝子の第5エキソン内にloxP配列で挟まれた薬剤耐性遺伝子とその下流に終止コドンを含むターゲッティングベクターを導入し、少なくとも片側のアレルが破壊された細胞株を樹立した。 3.酵素欠損症の細胞治療法の開発をめざし、組織指向性細胞株のドナーとして、昨年度構築した緑色蛍光タンパク質および細胞不死化遺伝子を含むトランスジーンの恒常発現マウス(Tgマウス)の作製を委託した。また新たにβ-ヘキソサミニダーゼ遺伝子破壊マウスを研究に導入し、GM2ガングリオシドの過剰蓄積に伴って誘導される組織異常シグナル伝達(液性因子の分泌)を解析し、これらの因子が組織指向性を決定するかどうかを検討中である。
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Research Products
(1 results)