2001 Fiscal Year Annual Research Report
革命期フランスにおける「自然」概念についてのコーパス解析的研究
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12610523
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤間 啓之 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (60242301)
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Keywords | イデオロジー / カバニス / メスメール / コーパス言語学 / 計量文体論 / 情報検索学 / 因子分析 / 医学哲学 |
Research Abstract |
本年度は、イデオロジーなど、フランス革命期の哲学的言説を、本格的にコーパス言語学的研究に付し、本研究の主要対象であるカバニスとメスメールという、二人の思想家の予想外な類似性を解明した具体的には、両者の代表的な作品、ジョルジュ・カバニス、『第一原因についてのF氏への手紙』とF.-A.メスメール、『医学博士F.-A.メスメールによる、彼の発見についての論文』)のふたつを取り上げ・両者それぞれに現れた高頻度名詞と共起する有意味単語データを因子分析にかけた。情報検索学の手法を計量文体論に導入し、哲学的なコーパスから文脈の自動抽出を行ったわけである。カバニスには、思想、観念、内省に関わる「哲学」系のタームが多く、メスメールには、物体、流体、身体に関わる「医学」系のタームが多い。一見すると両グループに関わる文脈はなさそうに思える。が、もしカバニス、メスメールを通底する文脈が客観的な方法で抽出できた場合、その文脈を構成する語は(因子分析をして両者に横断的な因子が取れた場合は、その因子の得点の高いものとしてクラスタリングされるサンプル語)は、「医学哲学」というジャンルを成立させる媒介の役割を果たしていたとは言えないだろうか。これがわれわれの仮説であった。そして計量分析の結果、予想通り、カバニス、メスメールを明確に分別する因子の他に、両者の深い類似性を示唆する複数の横断的な因子が抽出された。さらにキーワードの頻度データまで考慮すると、その類似性は同時代性の文脈と言った中間的・一般的な性格にとどまらず、「動物磁気」など、独自の用語をめぐるかなり特殊な概念のレベルにまで及んでいると言うことができる。
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[Publications] 赤間啓之: "ベクトル空間モデルに則った,近代ストア主義とメスメリウムの類似性に関する計量文体論的分析"情報処理学会研究報告. Vol.2001 50・1. 1-8 (2001)
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[Publications] 三宅夏紀, 赤間啓之, 佐藤研, 中川正宣: "因子分析による共観福音書問題の解析"統計数理. 48・2. 327-337 (2001)
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[Publications] 山崎吉朗, 高田祐二, 国枝孝弘, 倉舘健一, 赤間啓之, 加藤弘: "コンピューター利用教材の学習効果測定と分析"コンピュータ利用教育協議会 2001 PCカンファレンス論文集. 16-17 (2001)
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[Publications] 小田俊彦, 赤間啓之: "綴字法改革を考慮したフランス語教材の作成"コンピュータ利用教育協議会 2001 PCカンファレンス論文集. 18-19 (2001)
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[Publications] 山崎吉朗, 鷲頭弘子, 高田祐二, 田中幸子, 赤間啓之, 加藤浩: "フランス語学習のためのWeb教材の学習効果に関する実験及びその分析"2001年日本教育工学会大会第17回大会講演論文集. 473-474 (2001)