2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡鍋 文哉 九州大学, 工学研究院, 講師 (30264063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本岡 輝昭 九州大学, 工学研究院, 教授 (50219979)
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Keywords | Field Emission / Silicon / Surface Diffusion / Surface Dynamics |
Research Abstract |
今年度は、以下の二つの実験を行った。 FFECによりシリコン単結晶チップからの電界放射線を超高速時間分解する実験を行った。これまでの、電界放射用とスイープ用のパルス電圧に加え、電子線検出に使用するマイクロチャネルプレートと電子線収束に用いる静電レンズヘ印加する電圧もパルス化し、バックグラウンドノイズとチップ融解の危険性を減少させる改良を施した。この結果、時間分解能は4ピコ秒程度まで可能となった。これは、表面においてシリコン単原子の振動特性を観察するには不十分の値であるが、チップ先端での表面原子集合の揺らぎを観察する事は可能な領域に達している。シグナルをフーリエ変換することにより、1-2ギガヘルツ程度の振動数が多く観察されることが判明した。 又、電界放射電流の時間的相関関数を測定し、拡散係数を求める実験を行った。この実験では、アンチモニをドープした単結晶シリコンチップを試料とし、ボロン蒸着前後での拡散係数の変化を観察した。固体からチップへの直接ボロン蒸着を行うため、ボロンナイトライド製ボートを利用した蒸着装置を作製した。この結果、極少量のボロンをシリコン表面へ吸着させる事が可能となった。ボロン蒸着前のシリコン表面での原子拡散は約1.5eV程度の活性化エネルギーを持つ。これはシリコン原子の表面自己拡散によるものであるか、アンチモニによるものであるかは、現状では、はっきりしていない。しかし、ボロン吸着後には、表面拡散の活性化エネルギーは0.2eV程度まで減少し、試料温度〜500K程度から拡散が確認できる。試料温度を〜900Kまでに上昇させると、拡散係数の値は減少し、ボロン吸着前の値に戻る。この温度領域はSTM等により確認されているボロンが表面から一層下に潜り込む温度に等しい。900K以上の温度では、拡散係数の値とその活性化エネルギーの値はボロン吸着前のそれぞれの値にもどる。このため、600-900Kで観察された拡散はボロンの表面拡散によるものであると推測される。 この他に、シリコン表面拡散をシミュレーションするプログラムの最適化を行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Hirayama,F.Watanabe,T.Takahashi,T.Motooka: "Surface Diffusivity Measurements on Boron Covered Silicon Surfaces by Field Emission"Proc.of the 5th Symp.on Atomic-scale Surface and Interface Dynamics. 1-6 (2001)