2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650275
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
垣本 直人 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70136133)
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Keywords | 内部共振 / WEST30標準系統モデル / EAST30標準系統モデル |
Research Abstract |
本研究では実規模系統における内部共振の可能性を,電気学会が1998年度に作成した基幹系統モデルに基づいて検討した.本年度は研究の最終年度にあたる.昨年度は固有値解析のプログラムを改良した.その結果,動揺モードだけでなく制御系に存在するすべてのモードについて固有値および固有ベクトルが求められるようになった.このプログラムを用いることにより,中西地域および東地域の内部共振に励磁系のモードが深く関わっていることが明らかになった.しかし,検討はモード間の作用を視覚化することで行っており,定性的な議論にとどまっていた.本年度はモード間に作用する力を数式で表現することにより,より定量的な解析を行った.以下にその結果をまとめる. 1)励磁系のモードに作用する力を2次式で表すことにより,このモードが長周期の動揺モードにより励起されることを理論的に示した.また,数値シミュレーションによりそれが正しいことを確認した. 2)このようにして励起された励磁系のモードは,今度は逆に長周期の動揺モードに影響を及ぼす.二つのモード間に働く力を正確に算出してその時間的変化を調べた.その結果,励磁系のモードは長周期動揺の過渡的な安定性を向上させると同時に,動態的な安定性,すなわちモードの減衰特性を劣化させることが明らかになった. 3)さらに,長周期動揺モードの約半分の周期をもつ二つの動揺モードを考慮して,四つのモードについて時間的な変化を解析した.これら二つのモードは長周期動揺モードと内部共振を起こし,その減衰特性をさらに低下させる.そしてついには長周期動揺モードを発散させることが明らかとなった. 4)これら四つのモードによる解析結果は動揺方程式の数値シミュレーションによる結果とほぼ一致することから,対象系統の安定性を決定する主要因であることが判明した. 以上により,実規模系統において内部共振がきわめて重要な役割を果たすことを示すことができた.
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Research Products
(1 results)