2000 Fiscal Year Annual Research Report
個体発生において放射線がNT-3および左右非対称性発現遺伝子の発現に与える影響
Project/Area Number |
12670034
|
Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
隅田 寛 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (10154626)
|
Keywords | 放射線 / 発生 / NT-3 / 四肢異常 / 中枢神経系異常 / X線 / カリフォルニウム / PitX2 |
Research Abstract |
研究目的は放射線が多分化機能を有する神経堤細胞を障害するか,あるいは左右非対称性発生に関わるホメオボックス遺伝子の発現に影響を与えるか否かを調べて放射線の発生過程に与える影響の原則的側面の見直しを検討することである. Chick胚に高エネルギーX線を照射して,その影響を調べた.37度湿潤空気中で24時間から72時間孵卵したホワイトレグホン胚にLinacを使用して6MeVの高エネルギーX線を5Gyから9Gy照射した.孵卵72時間での照射では50%生存線量は7.5Gy程度と推定された.照射胚には対照胚に比較して発育遅延が認められ,体重には有意差が認められた.5Gy照射群では3%に外表奇形を認めたのみであるが,6Gy照射群で約60%,7Gyでは約75%に外表奇形が認められた.micromeliaが外表奇形の主なものであったが,ectopia cordisを合併している例もあった.8Gyおよび9Gy照射群では,主にmicrophthalmiaを中心とした顔面の奇形が認められた.認められた異常は神経堤細胞に由来するものではなかったが,照射後のNT-3遺伝子の発現は低下していた.HSP70については照射時期によって発現が増加する場合と低下する場合があった.孵卵24時間および48時間の照射ではFGF-8の発現低下が認められた.左右非対称性発生に関わる遺伝子であるPitX2の発現は照射により大きな影響は受けていないもようである.妊娠マウスに対して中性子線を含むカリフォルニウムの照射も行った.妊娠7.5日での総線量50cGyおよび75cGy照射について外脳を認めた.NT-3遺伝子の変異を示すかもしれない仮データを得た. 現在のところは,放射線のホメオボックス遺伝子に対する特異的な影響は認められていない.
|