2000 Fiscal Year Annual Research Report
濫用有機溶媒の精子形成に及ぼす影響:形態変化と造精機能障害の分子生物学的検討
Project/Area Number |
12670395
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳永 逸夫 徳島大学, 医学部, 講師 (30116842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤田 貴子 徳島大学, 医学部, 助手 (50304506)
北村 修 徳島大学, 医学部, 講師 (70266609)
久保 真一 徳島大学, 医学部, 教授 (10205122)
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Keywords | 法医学 / 濫用薬物 / トルエン / 造精機能 / 精巣 / 形態学 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
Wistar系雄性ラット(10週齢)を用い,トルエン(1,000ppm)を1日4時間吸入させた.対照群,1週間(5日間)吸入群,4週間(20日間)吸入群(各群4匹)について検討した.本年度は,短期間吸入例を中心に検討を行い,以下の結果を得た.(1)体重変化:1週間吸入群では,非吸入群と有意差はなかった.4週間吸入群では体重は有意に低下していた.(2)精巣・精巣上体重量:各群とも精巣・精巣上体重量に有意差はなかった.しかし,4週間吸入群では体重は有意に低下していたことから,体重あたりの精巣・精巣上体重量は有意に増加していた.(3)形態学的変化:一般(HE)染色像では,1週間吸入群と対照群で明らかな形態学的変化は認められなかった.(4)HSP70,c-Fos,PCNA,TGF-β1,8-OH-dG,ApopTagについて免疫組織化学的に検討した.その結果,1週間吸入群と対照群で精子形成過程のうち増殖細胞,アポトーシス細胞,減数分裂細胞のそれぞれ過程に明らかな変化は認められなかったものの,精細管最内層の精子および精巣上体の精子のTGF-β1染色に対照群と違いが観察され,最終段階における形質転換に障害が生じている可能性が疑われた.また,これらの障害の発生機序として過酸化障害の可能性について検討したところ,これまでのところ明らかな差異は観察されなかった.次年度は,上記結果についての定量的検討を行い造精機能障害をより詳細に検討すると共に,長期間吸入群についての検討を加え,造精機能障害の発生機序を解明する予定である.
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