2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670941
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
濱村 貴史 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (40273974)
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Keywords | 抗精神病薬 / Fos / 錐体外路症状 |
Research Abstract |
精神分裂病の治療において、薬物療法は主要な位置を占め、多数の抗精神病薬が臨床で用いられている。抗精神病薬は錐体外路症状を発現しやすい定型的抗精神病薬と、比較的錐体外路症状の少ない、非定型的抗精神病薬に二分されているが、とりわけ日本国内で独自に開発された抗精神病薬については体系的なデータに乏しかった。近年、定型的抗精神病薬では線条体背外側部の神経細胞に著しいFos蛋白の誘導を認め、これとは対照的に、非定型的抗精神病薬では側坐核の神経細胞に優位なFos蛋白の誘導を認めることが明らかとなった。Fos蛋白発現の(側坐核-線条体背外側部)の差をatypical indexと呼び、これが負の抗精神病薬を定型的、正のものを非定型的に分類する方法の妥当性が提唱されている。今回の研究においては、日本国内で臨床に用いられている全ての抗精神病薬のatypical indexを体系的に求め、抗精神病薬の薬物特性を明らかにすることを目的に実験をおこなった。 ラットに各種の抗精神病薬を2用量(少量、中等量)それぞれ投与した。投与2時間後にラットを麻酔下に脳を4%パラホルムアルデヒドで環流固定し、取り出した脳を24時間後固定したのち、マイクロスライサーにて30μの脳切片を切り出した。得られた脳切片を抗Fos蛋白抗体(Santa Cruz 1:3000)で免疫組織化学をおこなった。ニュートラルレッドで線条体背外側部と側坐核のFos蛋白陽性細胞数を顕微鏡下で定量しatypical indexを求めた。代表的な定型的抗精神病薬のハロペリドールではatypical indexはマイナスとなり、非定型的抗精神病薬を代表するクロザピンではatypical indexはプラスとなった。また、セロトニンドパミン拮抗薬の原型となるピパンペロンもプラスを示し、非定型抗精神病薬に属する事を確認した。
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