2002 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経損傷後の中枢運動神経興奮性の変化と神経再生後の大脳運動野の可塑性について
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12671419
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
金子 和生 山口大学, 医学部, 助手 (60284246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 耕一郎 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (80325224)
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Keywords | 末梢神経障害 / 大脳運動神経 / 経頭蓋磁気刺激 / 脊髄誘発電位 |
Research Abstract |
(研究目的) 末梢神経損傷患者における大脳運動野の興奮性の変化を観察する目的とし、経頭蓋磁気刺激による脊髄誘発電位を導出した。また一部の症例ではfunctional MRIを用いて大脳運動野の興奮性の変化を画像的に評価した。 (対象および方法) 対象は全型腕神経叢麻痺患者10例と胸椎部脊髄症および運動麻痺の軽度な頚部症10例とした。頚椎硬膜外カテーテル電極を挿入し、Magstim社の8の字コイルを使用し、左右別々に上肢の運動野を経頭蓋磁気刺激し、脊髄誘発電位を記録した。腕神経麻痺患者においては経頭蓋磁気刺激による脊髄誘発電位の閾値を測定し、また強刺激により誘発される脊髄誘発電位の振幅の左右差を測定した。また腕神経叢麻痺患者の2例ではfunctional MRIを撮影し、運動野の興奮性の変化を観察した。 (結果および考察) 胸椎部および頚椎部脊髄症では左右の刺激とも同程度の振幅を有する脊髄誘発電位が記録できた。つまり本法により一次運動ニューロンのみの興奮性の変化を電気生理学的に左右別々に測定できることが確認された。 腕神経叢麻痺患者においては脊髄誘発電位の閾値および強刺激による脊髄誘発電位の振幅とも障害側支配の大脳運動野と健常側支配の大脳運動野の刺激で左右差を認めず、損傷早期には大脳皮質の運動ニューロンの被興奮性は低下していないと推察された。陳旧例では症例が無かったため判断は不能であった。 functional MRIでも上肢の運動をイメージすることで運動ニューロンの活動性は高まっていることが確認できたが、その程度は健側の運動によるものと比較し、低下していた。つまり大脳運動野の被刺激性は変化ないが、自発的な興奮性は低下している可能性がある。現在臨床では鬱病の患者において前頭葉の経頭蓋磁気刺激が用いられている。経頭蓋磁気刺激を治療に用いれば大脳運動ニューロンの自発的な興奮性を維持できる可能性があるが、今後の検討が必要である。
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Research Products
(1 results)