2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮頚部腺癌の多段階発癌機構解析に基づく診断治療法の開発
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12671643
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
平井 康夫 (財)癌研究会, 癌研究所・細胞生物部, 研究員 (00260076)
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Keywords | 子宮頚部腺癌 / TGFβRII / BAX / SMAD / PTEN / 遺伝的不安定性 / CGH / 発癌過程 |
Research Abstract |
子宮頚癌はヒト婦人科腫瘍の中でも多数を占める癌腫であり、進行癌ではしばしば致命的となる。本研究が対象とする子宮頚部腺癌は、ヒト子宮頚癌の大多数を占める扁平上皮癌と較べ、初期での発見が細胞診等では難しく、発見が遅れる傾向にある。また、臨床的に同等の進行度で発見されても扁平上皮癌に較べ予後が著しく悪いため生物学的悪性度が高いと考えられる。本研究は、子宮頚癌のなかでも稀少な頚部腺癌の臨床材料が比較的入手しやすい本施設の特色を生かし、本腫瘍の新鮮材料をもとにして、細胞遺伝学的手法により発がん過程を解析して、子宮頚部腺癌の本態解明と分子遺伝学的診断および予防治療に応用することを目的とする。 今回収集した新鮮な臨床材料のうち、一部は細胞培養に供し、新規の頚部腺癌細胞株の樹立を目指している。残りは凍結し-80度C保存とし、必要時にDNAを抽出した。遺伝的不安定性の有無を、任意の染色体から任意に5つのmicrosatellite markerを選択し、PCR産物の泳動パターンから遺伝的不安定性を判定した。遺伝的不安定性の発癌過程における標的遺伝子と考えられるTGF-β Type II Receptor遺伝子、SMAD遺伝子、BAX遺伝子、転写因子E2F等の変異分析を実施している。がん抑制遺伝子として注目されているPTEN遺伝子は、子宮体癌を含む他領域での変異分析では全エクソンにわたる種々の変異が報告されている。集積した頚部腺癌において、PTEN遺伝子各エクソンのSSCPを実施し、変異の推定されるエクソンについてダイレクトシークエンスをして全症例で変異の有無を検討している。また全症例で、全染色体の解析に威力を発揮するComparative Genomic Hybridization法(CGH法)を実施している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y Hirai,N Takeshima et al: "Malignant Potential of Positive Peritoneal Cytology in Endometrial Cancer"Obstetrics & Gynecology. (In press). (2001)
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[Publications] K Matsumoto,Y Hirai et al: "Enhanced oncogenicity of human papillomavirus type 16 (HPV16) variants in Japanese population"Cancer Letters. 156. 159-165 (2000)
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[Publications] T Tabata,Y Hirai et al: "Clinical value of tumor markers for early detection of recurrence in patients with cervical adenocarcinoma and adenosquamous carcinoma"Tumor Biology. 21. 375-380 (2000)
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[Publications] K Yanoh,Y Hirai et al: "Prognostic value of the colposcopic tumor size in stage IB squamous cervical cancer"Journal of Surgical Oncology. (In press). (2001)
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[Publications] 平井康夫: "技術講座病理 子宮頚部細胞診の読みかた"検査と技術. 28. 1109-1114 (2000)
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[Publications] K Kashima,Y Hirai et al: "Screening of BRCA1 mutation using Immunohistochemical staining with Cterminal and N-Terminal antibodies in familial ovarian cancer"Jpn.J.Cancer Reci. 91. 399-409 (2000)
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[Publications] 平井康夫: "IV子宮肉腫 子宮肉腫に対する化学療法.新女性医学大系"(株)中山書店 悪性腫瘍の薬物・放射線療法,(篠塚孝男 編). 233-238 (2000)