2000 Fiscal Year Annual Research Report
殺菌性変成アパタイトを配合した抗菌性義歯床用レジンの開発
Project/Area Number |
12671911
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
平林 茂 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30121130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 朋子 鶴見大学, 歯学部, 助手 (50233101)
前田 伸子 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10148067)
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Keywords | 義歯床用レジン / デンチャープラーク / 無機系抗菌剤 / 抗菌効果 |
Research Abstract |
高齢化社会において,義歯の汚染が原因と考えられる日和見感染症などの報告もあり,デンチャープラーク・コントロールの重要性が再認識されている.そこで本研究では,抗菌性義歯床用レジンの開発を目的に,生体親和性に優れるアパタイトを基材とする2種の抗菌剤を添加した義歯床用レジンを試作し,その抗菌効果を調べると共に,添加による物性への影響を検討した. 抗菌剤として,試作ケイ酸含有アパタイト(宇部マテリアルズ,以下Si-HAp)と銀焼結アパタイト(サンギ,以下Ag-HAp)を用い,コントロールとしてアパタイト(宇部マテリアルズ,以下HAp)を用いた.供試微生物として,デンチャープラークの原因真菌とされるCandida albicansとそれと共生関係がありかつ齲蝕原性のあるStreptococcus mutansを使用して,先ず抗菌剤自体の抗菌性を評価した.その結果,いずれの抗菌剤とも抗菌性は認められたものの,Si-HApはAg-HApに比較してその発現速度が遅かった.特にS.mutansに対して効果が弱かった. 加熱重合床用レジン(アクロン,GC)のポリマー粉末に,各抗菌剤を硬化体換算で3%または5%の濃度となるように添加して調製したレジン硬化体の抗菌性をフィルム密着法により評価した.コントロールとしてはHApを用いた.3日後のC.albicansの生存率で比較すると,5%HAp添加で23%であったのに対し,3%Ag-HAp添加では0.7%,3%Si-HAp添加では3.9%,5%Si-HAp添加では7.5%であり,抗菌剤の種類により抗菌効果は異なるものの,弱い抗菌性が認められた.抗菌剤添加床用レジンのISO-1567-1978に従った曲げ試験の結果,規格のたわみ量には変化が認められなかったが,曲げ強さは5〜10%低下した.しかし,それは許容範囲と考えられる. 今後,抗菌効果の持続性,長期水中浸漬による物性の変化を調べていく予定である.
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Research Products
(1 results)