2001 Fiscal Year Annual Research Report
低電力性・高信頼性を有する高性能電流モード多値VLSIシステムの実現
Project/Area Number |
12680324
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羽生 貴弘 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (40192702)
|
Keywords | 差動対回路 / 多値2線式符号 / セルフチェッキング回路 / 多値算術演算回路 / ソース結合形回路 / ダイナミック回路 / カレントミラー / スレショルドディテクタ |
Research Abstract |
低消費電力性と高信頼性を同時に満たす多値回路技術として、本年度は、以下の研究項目の研究を行った: (1)前年度までの研究成果に基づく問題点の検討: 前年度までに回路構成を検討した多値電流モード算術基本回路について、引き続き性能評価を行うと共に、その基本動作原理を確認するために、小規模な多値回路をチップ試作サービスにて試作した。すなわち、多値2線相補信号を活用する多値電流モード回路では、微小な入力電圧振幅で高い電流駆動能力を発揮できるという利点はあるが、電流モードであるため「常に定常電流が流れる」という問題があった。そこでます、電流信号を適宜電圧信号に変換する「多値ソース結合形回路方式」を考案することで、定常電流が流れる原因であったカレントミラーを省略することに成功した。また、多値2線式信号による高速スイッチング特性を維持しながら、定常電流をカットする回路方式として、新たにダイナミック回路技術を活用した「ダイナミック形多値ソース結合形回路」を考案した。さらに、この原理動作を確認するため、チップ試作サービスにてダイナミック形多値ソース結合形基本回路を試作し、所望の動作が行われていることを確認した。 (2)大規模な算術演算回路システムの実現へ向けての検討: 上述したように、新しい多値回路技術の考案と共に、その基本動作原理の確認を通じて、この回路方式が適する、より大規模な応用例の検討を行った。すなわち、多値2線式符号は、高速スイッチング性&低消費電力性のみならず、高信頼性や非同期制御回路との整合性に優れていることを見出し、この具体的な回路構成について検討した。なお、これら提案回路の性能評価や試作チップを通じた、より詳細な動作原理の確認は、次年度以降に行う予定である。 以上の研究成果は、多値論理研究で最も権威のある国際会議「多値論理国際シンポジウム(ISMVL)」に、2001年5月と2002年5月に採録となっており、研究の独創性が国際的に高く評価されている。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] T.Ike, T.Hanyu, M.Kameyama: "Dual-Rail Multiple-Valued Current-Mode VLSI with Biasing Current Sources"Proc. of 31st IEEE Int. Symposium on Multiple-valued Logic. 31. 21-26 (2001)
-
[Publications] T.Hanyu, M.Kameyama, K.Shimabukuro, C.Zukeran: "Multiple-Valued Mask-Programmable Logic Array Using One-Transistor Universal-Literal circuits"Proc. of 31st IEEE Int. Symposium on Multiple-valued Logic. 31. 167-172 (2001)
-
[Publications] T.Hanyu: "Challenge of a Multiple-Valued Technology in Recent Deep-SubmicronVLSI"Proc. of 31st IEEE Int. Symposium on Multiple-valued Logic. 31. 241-244 (2001)
-
[Publications] 池 司, 羽生 貴弘, 亀山 充隆: "高性能多値電流モード集積回路の設計"2001年電子情報通信学会ソサエティ大会(エレクトロニクス). 76 (2001)
-
[Publications] 望月 孝祥, 羽生 貴弘, 亀山 充隆: "ソース結合形論理に基づく多値ドミノ集積回路の構成"電子情報通信学会集積回路研究会技術研究報告. 101・384. 61-66 (2001)
-
[Publications] 山口通智、羽生貴弘、亀山充隆: "適応的電源電圧制御に基づく低消費電力VLSIアーキテクチャ"2002年電子情報通信学会全国大会予稿集. (発表予定). (2002)
-
[Publications] T.Ike, T.Hanyu, M.Kameyama: "Fully source-coupled logic based multiple-valued VLSI"Proc. of 32nd IEEE International Symposium on Multiple-Valued Logic. 32(掲載決定). (2002)