2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸素センサータンパク質FixLによる環境情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
12680661
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
飯塚 哲太郎 法政大学, 工学部, 教授 (30029475)
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Keywords | 酸素センサータンパク質 / FixL / ヘムタンパク質 / 自己リン酸化 / 窒素固定遺伝子 / FixJ / 分子内情報伝達 / 分子間情報伝達 |
Research Abstract |
酸素センサータンパク質FixLは、マメ科植物の根に根粒を形成する根粒菌中に存在し、周囲の酸素濃度を感知し、窒素固定酵素の合成を遺伝子レベルで調節するヘムタンパク質である。FixLはヘム結合ドメインとキナーゼドメインから成り、前者は酸素濃度を感知し、後者はATPからリン酸基を受け取りレギュレータータンパク質FixJをリン酸化する。周囲の酸素濃度が高いときには、ヘム鉄に酸素が結合し、キナーゼ活性を示さない。しかし、酸素濃度が低下すると、ヘム鉄から酸素が解離し、キナーゼ活性が上昇し、FixJのリン酸化を通して窒素固定遺伝子が活性化される。本年度は酸素濃度の変動を感知するFixLならびにその情報を窒素固定遺伝子に伝えるFixJに着目し、タンパク質分子内、分子間情報伝連の機構を解明する目的で以下の研究を行なった。 1.スピン状態とキナーゼ活性との相関性の確立:FixLのヘム鉄が低スピン状態にあるCO結合型以外にもNO結合型においてキナーゼ活性がみられることを発見し、酸素化型(低スピン状態)でなぜキナーゼ活性が発現しないかを最近報告されたX線結晶構造解析の結果に基づいて考察した。 2.ラマン分光法による2原子分子結合状態の解析:トリプトファンを導入したFixLミュータントに紫外ラマン分光法を適用し、酸素分子のみがヘムの第6配位座近傍のアミノ酸残基の再配列を引き起こすことにより、分子内情報伝達を遮断することを明らかにした。 3.転写因子FixJの機能性アミノ酸残基の解析:β-ガラクトシダーゼ遺伝子を含む適切なレポーターシステムを利用して、酸素存在下でもFixLからFixJに(分子間)情報伝達が起こるような変異をFixJに誘導することに成功した。また、この変異がFixJの二つのドメインであるリン酸化ドメインとDNA結合ドメインの内、前者にのみ導入されることを発見し、情報伝達に関わる重要なアミノ酸を同定した。
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Research Products
(1 results)