2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710034
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳 淳二 千葉大学, 文学部, 助手 (10322025)
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Keywords | 運動視 / 速度知覚 / 運動定義輪郭 |
Research Abstract |
一様なランダムドットの領域のうち、一部の領域だけを運動させると、運動のみで定義された領域(以下「ターゲット」と呼ぶ)の輪郭を知覚することができる。このターゲット領域全体が運動するとき、領域を定義している内部の運動の属性によって、領域全体の速度の知覚が大きく影響を受ける。本研究では、ターゲットの速度知覚に対して領域内部および外部の運動が与える影響について、実験的に検討した。 コンピュータによって制御された視覚運動刺激を提示し、知覚されたターゲットの速度は、階段法を用いて測定した。標準刺激としてターゲットを提示し、続いて比較刺激として空間周波数およびコントラストを固定した正弦波を提示して運動させた。被験者は強制二肢選択により、継時的に提示された標準・比較刺激のうち、どちらが速く動いて見えたかを答えた。 その結果、ターゲット領域内部の運動をフレーム毎に相関のないフリッカー運動にした場合でもターゲット速度の過大視が生じ、速度知覚の歪みが領域内部の運動の方向によらないことが明らかになった。また、あまりフリッカーが速くなると、人間の眼にはフリッカー自体が知覚されなくなるため、知覚速度の過大視は生じなくなる。ただし、実験機器の性能の限界から、フリッカーが全く知覚されなくなる条件は実現できなかった。それでも、あるフリッカー速度で速度の過大視量がピークとなる傾向は確認された。 また、刺激は等速直線運動をさせたにもかかわらず、被験者の内観としてターゲットが加速あるいは減速運動をしているように知覚されていた。これは運動で定義された輪郭の成立時間が条件により変化している可能性や、安定した速度知覚に到達するまでの間に速度に関する運動捕捉現象が起きている可能性を窺わせる。これらの可能性を検討するためには現在の実験から刺激・測定方法などを改良する必要がある。
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