2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710159
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
藤原 瑞穂 大阪府立看護大学医療技術短期大学部, 助手 (90269853)
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Keywords | 学び / 高齢者 / 障害者 / 学習ニーズ |
Research Abstract |
社会の急速な高齢化と生涯学習社会の到来が強調される今日、高齢者の学習ニーズを把握していくことは老年学の研究・実践上の重要な課題であろう。本研究は、障害高齢者の学習活動の現状と学習ニーズを探ることを目的に、兵庫県他に在住する60歳以上の身体障害高齢者を対象として質問紙調査を行い、以下の結果を得た。 有効回答364名の平均年齢は71歳、主な疾患は脳血管障害と整形外科疾患、罹病期間は3年以下37%、4年〜10年39%、11年以上23%であった。(1)学ぶことの必要性を「強く感じている」者は46%であり、とくに罹病期間11年以上では「強く感じている/どちらかといえば感じている」の合計比率は96%にのぼった。(2)学んでいる場所・機会は病院やリハ室が47%と最も多く、次いでテレビ・ラジオ43%、ひとりで本・雑誌を読んで34%であり、老人大学、カルチャーセンター、図書館などはいずれも10%に満たなかった。(3)他の高齢者との交流活動に「大いに関心あり」は、罹病期間3年以下群から25%、33%、35%、またパソコンやインターネットを利用した学習、現代の政治や経済に関する学習も罹病期間が長い層に比率が上昇する傾向がみられた。(4)ADL別には手軽なスポーツや手芸に「大いに関心あり」は障害が重症の層ほど比率が低下したが、他の高齢者との交流活動、自分の過去を振り返る学習、パソコンなどを利用した学習はADL全介助群で高い比率を示した。(5)機能訓練やデイサービスは80歳以上の83%が学習の場であるとこたえたが、64歳以下の33%は「学習の場ではない/どちらともいえない」とこたえた。 障害をもつ高齢者の学習ニーズのなかには、罹病期間の長い者のほうに、またその重症度が重い者のほうに独自の学習ニーズが存在することが示唆された。したがって、障害高齢者への援助活動においてはその障害の程度に応じた独自の学習ニーズをふまえて支援していくことが求められるといえる。
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