2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森下 章司 京都大学, 大学院・文学研究科, 助手 (00210162)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 中期 / 年代 / 六朝 / 鏡 |
Research Abstract |
古墳時代の実年代を推定する上でもっとも基本的な資料となる、中国の六朝時代の墳墓についての発掘調査報告を集成した。それを用いて、墓室の構造や副葬品の種類や変遷を整理し、また紀年磚や墓誌を手がかりとして、それらに実年代を割り振る作業を進めた。また副葬品の中で、日本との対比でもっとも重要な手がかりとなる鏡については単独でカードを作成した。古墳出土の六朝時代製品とみられる器物について、実物の検討を進めた。 これらの作業の結果、次のような成果を得た。 (1)六朝時代の墳墓について、墓室構造や陶磁器をはじめとする副葬品について大まかな時代的変遷を把握し、それぞれに年代を判断する特徴を把握した。 (2)古墳出土品の中で六朝時代の製品として年代推定の大きな手がかりとなるものとして、鏡、帯金具、ガラス碗を見いだしそれぞれに検討を加えた。その中で特に六朝末期の鏡が日本からも出土していることについて小論文を発表した(共著「磐田郡豊岡村神田古墳-中国鏡出土の後期古墳-」『浜松市博物館報』第13号、浜松市博物館)。 (3)それらの資料から、古墳時代中期の年代幅を推定する作業を進めた。 朝鮮半島での共伴関係を媒介とした年代推定については作業途上であるが、この時期の朝鮮半島との並行関係を考える古墳からの出土資料として、環頭大刀、馬具などの資料を集め、検討中である。環頭大刀についてはこれまであまり注意されていなかったが、この時期に朝鮮半島からもたらされたものはかなりの数にのぼるものとみる。また本年は中国製の青磁と馬具を出土した百済法泉里古墳群の発掘調査報告書が刊行され、両者の結びつきをみる重要な手がかりとすることができた。
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Research Products
(1 results)