2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710228
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
青木 博史 京都府立大学, 文学部, 講師 (90315929)
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Keywords | 複合動詞 / 二次述部 / 変化 / 意図性 / 抄物資料 / 漢字字体 |
Research Abstract |
本年度における研究の業績は以下のとおりである。 (1)論文「複合動詞『〜なす』について」『国語国文』69-11(2000年11月) (2)論文「中野道伴版中華若木詩抄における漢字字体『規範』」『文献探究』39(2001年3月) (1)は、古代語の複合動詞について考察したものである。「見なす」「思いなす」などの「〜なす」複合動詞を取り上げ、文構造とその表現性を中心に述べた。この「〜なす」複合動詞は、「桜を雪に見なす」「山を禿に切りなす」のように、結果状態を表すニ格が必須の要素となっている。すなわち、ここでのニ格は、「太郎が壁を真っ白に塗った」の「真っ白に」同様、「結果の二次述部」と捉えるべきであると説いた。また、「〜なす」複合動詞は、「ことさら〜する」のように、作為的な動作という表現性を有する場合があるが、これは、必ず変化結果を伴うような動作として表現しようとするところに、動作主の意図性が表出するためであることを述べた。 (2)は、抄物資料研究の一環として、これまで手薄であった、文字表記の面から考察したものである。これは同時に、抄物という世界における、江戸初期整版本の文字使用に際しての規範意識を、古活字版からの流れの中で捉えようとした試みでもある。「中華若木詩抄」をテキストとし、寛永版本および古活字版本2本の全巻にわたる総ての漢字の「かたち」を調査し、その文字使用の実態について記述した。
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Research Products
(2 results)