2000 Fiscal Year Annual Research Report
リスクに対する態度形成の理論・シミュレーション分析
Project/Area Number |
12730017
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
荒木 一法 早稲田大学, 政治経済学部, 講師 (60247195)
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Keywords | リスク / 進化 |
Research Abstract |
人口規模を一定とする仮定のもとで、進化過程から生成されるリスクに対する態度を二つの手法で研究を進めた。第一に、理論分析では、直接明示的な結果を導くために、やや制限的な仮定をおいて研究を進めた結果、一定の成果を収めることに成功した。第二に、一般的なケースを研究するために予備的シミュレーションのプラグラム作成に着手した。 理論分析においては、リスクが及ぼす帰結が当該リスクにさらされた個人間で完全に相関している場合には、人口規模一定の仮定を置いても、人口規模の発散を仮定した既存研究と全く同じ結果が導かれたのに対し、相関が部分的にとどまる場合には異なる態度が形成されることを導いた。具体的には、共通の帰結が及ぶ範囲をパラメーター化し、そのパラメーターとリスクに対する態度の関係を明示的に定式化することに成功した。この結果は、リスクの帰結が完全に独立な場合と完全に相関した場合を二つの極限として含むことから、既存研究に比べ一般的な結果であるといえる。この結果を論文Evolution of Attitude towards Riskとしてまとめ、京都大学、東京工業大学、筑波大学、東京経済研究センターの各研究会で報告し、そこで得られた助言・コメントをふまえ専門誌投稿のための改訂作業中である。 確率過程のサンプル・パスを直接的に研究するシミュレーション分析については、予備的プログラムを現在作成中で、完成次第予備的なシミュレーションをおこない、その結果を踏まえて本格的なシミュレーション研究に着手する予定である。
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