2000 Fiscal Year Annual Research Report
消費者行動的視座からの広告とセールス・プロモーションの関係性に関する実証的考察
Project/Area Number |
12730065
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
奥瀬 喜之 小樽商科大学, 商学部, 助手 (30312440)
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Keywords | 価格 / 広告 / セールス・プロモーション |
Research Abstract |
本年度は、どのようにセールス・プロモーションとしての価格設定(価格プロモーション)と広告出稿を連携性の問題に関連して、価格-品質関係についての先行研究を踏まえて、広告が価格-品質関係に及ぼす影響を組み込んだモデルの構築を試みた。価格と消費者の知覚品質との関係性を反映したグーテンベルグ仮説では、価格の変化に対するマーケット・シェア及び売上に対する効果は線形ではなく二つの屈折点を持った非線形の関数で表され、中央部分が両端よりも緩やかな傾きを持つとしている。一方、Simon(1989)は、価格が消費者によって品質の指標、即ち消費者が「高価格製品は高品質である」、「低価格製品は低品質である」と判断する価格の品質バロメータとしての機能を加味した価格反応関数を示している。このような価格に依存した品質評価は経時的に一定ではなく、品質に対する不確実性が最も高い最初の購買時は価格の持つ品質バロメータとしての機能が働くが、製品の使用経験や商品知識が増すにつれ消費者の品質に対する不確実性は減少し、価格は品質バロメータとして機能しなくなり、価格反応関数の左端(低価格時の購買量)は上昇する。以上の議論を踏まえたモデルとして、最上、柿島、上田(1997)のSAFEモデルがあるが、このモデルではマーケティング変数を表す項は価格反応関数の左端の形状に影響を与えうる項ではなく、消費者への広告露出により消費者の商品知識が向上する為消費者の品質に対する不確実性は減少し低価格時の売上数量は増加する点を記述していない。従って本研究では、この点を改善した非線形回帰モデルを定式化し、実証分析(データはパネルデータ(衣料用洗剤・集計レベル))を行い、一部仮説どおりの結果を得られた。上記の内容は「価格設定及び広告出稿の連携性に関するモデル構築の試み」(日本商業学会東日本大会2000年11月25日明治学院大学)にて報告を行った。
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