2000 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレント放射を用いたバンチ長モニターの開発研究
Project/Area Number |
12740132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日出 富士雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60292207)
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Keywords | 電子加速器 / コヒーレント放射 / バンチ長モニター |
Research Abstract |
初年度となる平成12年度の実施内容としては、より効率的に実験を行うための計算機環境の整備と実験装置環境の整備を行った。本研究では、線形加速器で生成された短バンチ電子ビームから放射されたコヒーレント放射のスペクトルを解析することで電子バンチ形状を測定する。この際、ビーム強度の絶対値、つまり電子バンチ内の粒子数を高精度で測定しておくことが、基本的に重要なこととなる。東北大学原子核理学研究施設の線形加速器が供給するパルス電子ビームは、350ピコ秒の間隔でバンチされた電子群が、1マイクロ秒もの長い時間にわたって続いているマルチバンチビームである。これまでのビームモニターとしては、主としてSEM(Secondary Emission Monitor)とコアモニターを用いていた。SEMは、平均的なビーム電流を測定することはできるが、バンチ毎やパルス毎の粒子数は測定できない。コアモニターは、パルス毎のビーム強度を測定することが可能ではあるが、従来用いてきた物はノイズの影響で、正確な測定ができなかった。この問題を解決するために、新たにチェレンコフ光を観測してパルス長を精度よく測定するモニター系の開発をしている。これは、ビームダンプの手前で大気中に取り出された電子ビームが放出するチェレンコフ光をAPD(フォトダイオード)で検出し、ビームパルス長を測定するものである。チェレンコフ光は強度が強く、またAPDは出力信号が大きいので、パルス長を精度良く測定することが可能である。この測定とSEMの測定結果を用いて、バンチ当りの平均的な粒子数を精度良く得ることができた。現在、偏向電磁石からのシンクロトロン放射光を用いて、同様の測定がきるようにも準備を進めている。
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