2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740163
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
早戸 良成 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (60321535)
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Keywords | ニュートリノ核子散乱 / K2K実験 / 水チェレンコフ型検出器 |
Research Abstract |
K2K実験において、νの持つエネルギー分布については、モンテカルロシミュレーションのみでなく、二次粒子モニターなどの測定結果から分布を予測することができる。本年度はまず、前置検出器におけるν反応を用いてこの予測値がどの程度正しいかどうかを見積もった。この評価のためには、散乱断面積等が比較的よく知られており、また、反応後に観測される粒子からνのエネルギーを再構成することが可能な擬弾性散乱反応を用いた。この結果、反応前のνのエネルギー分布およびその流量は、予測値とかなり良く一致していることがわかった。νのエネルギー分布および流量の一致が確認できたので、現行のモンテカルロシミュレーションを作成して、κ粒子の生成事象数の予測を行った。前置検出器の一つである水チェレンコフ型検出器の場合に、全体積ではこれまでに供給されたピームにより発生した中性カレント単一κ粒子生成反応の発生数は約500、荷電カレント反応の場合では約1000という予測値が得られた。これらのシミュレーション結果を用いて事象再構成を行い、また実際に得られたデータとの比較を行った。今年度の解析では質量の再構成によりκ粒子の判別を行うことにした。その結果、全反応を含んだシミュレーションデータから得られた候補事象の質量分布は、実際のデータと大きく違わないことが確認できた。しかし、現在のところ、検出器の事象再構成における系統誤差を小さくするため、事象検出の有効体積を小さくしてあることから、実際に解析に用いているデータは1/3程度になっていることや、κ粒子の生成よりも圧倒的に反応確率の高いπ粒子生成反応等の混ざりこみが多いことから、反応断面積の確定までは至らなかったので、これらについて、より精度の高い事象選別方法を来年度に確立する予定である。
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Research Products
(1 results)