2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740196
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠山 貴巳 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70237056)
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Keywords | 非線形光学応答 / モット絶縁体 / スピン・電荷分離 |
Research Abstract |
モット絶縁体の電荷ギャップは強い電子相関により生じる。したがって、半導体に代表されるバンド絶縁体とは本質的に異なる光学応答が期待される。特に、一次元モット絶縁体では、強相関電子系特有のスピン・電荷分離に起因する新奇な光学応答現象が期待される。実際、バンド絶縁体やパイエルス絶縁体に比べて何桁も大きな三次の非線形分極率が報告されている。本研究は、銅酸化物絶縁体に代表されるモット絶縁体の非線形光学応答の理論的解明を行なうとともに、光エレクトロニクス材料としての設計指針を与えることを目的としている。 今年度は、典型的なモット絶縁体である銅酸化物絶縁体に焦点をあて、その非線形光学応答を明らかにした。模型はアニオンの自由度を無視した単一バンドのハバード模型である。次元性と非線形光学応答の関係を明らかにするため、一次元と二次元モット絶縁体の線形および非線形光学応答を数値的厳密対角化法を用いて調べた。一次元系の場合、スピンと電荷の自由度が分離されるため、光学応答には電荷の自由度のみがあらわに顔を出す。そのことが、実験で観測された一次元モット絶縁体における大きな非線形分極率の起源となっていることを示した。特に、奇および偶パリティを持つ光励起状態間のエネルギー差が強相関効果のため小さくなり、その結果双極子モーメントが非常に大きくなることを、数値計算の結果から得られた有効模型を用いて明らかにした。この成果に基づいて、現在、東京大学の実験グループと共同研究を行なっている。二次元モット絶縁体では、スピンと電荷は強く結合しているため一次元系とは本質的に異なった振る舞いをすることが数値計算から示された。
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Research Products
(1 results)