2000 Fiscal Year Annual Research Report
炭素化合物の熱力学的平衡に着目した花崗岩生成環境の推定
Project/Area Number |
12740303
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永峰 康一郎 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助教授 (10242843)
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Keywords | 花崗岩 / 炭素化合物 / 磁鉄鉱 / チタン鉄鉱系列 / S / Iタイプ / メタン / 二酸化炭素 / エタン / 酸化還元環境 |
Research Abstract |
本研究は,岩石試料を密閉容器内で破砕し,その際放出される気体炭素化合物の分析を行い,その組成から岩石生成環境の推定を行うものである。対象試料として,日本及びオーストラリアの花崗岩を選定した。これは両地域とも鉱物学的方法によって,花崗岩の起源や分類が古くから行われており,本研究の結果との比較検討を行う上で最適な試料と判断したからである。 分析の結果,日本の花崗岩について,酸化的環境で生成したと考えられる磁鉄鉱系列の花崗岩から放出された気体は二酸化炭素に富みメタンに乏しく,還元的環境で生成したと考えられるチタン鉄鉱系列ではその逆の傾向を示した。これは酸化・還元環境が,各炭素化合物の炭素に結びついている酸素・水素の数に影響するという事前の推察と見事に一致するものである。また,オーストラリアの花崗岩については,堆積岩起源と考えられるSタイプの花崗岩では,エタンが含まれる試料が多くあったが,火成岩起源と考えられるIタイプの花崗岩からはエタンがほとんど検出されなかった。これはエタンが,堆積物に含まれる有機物起源であることを示唆し,花崗岩の起源についての有用な情報をもたらすことを意味している。 これらの結果について,2001年1月にオーストラリア・メルボルンで開催されたアラン・ホワイト・シンポジウムで招待講演を行い,鉱物学者から高い関心を呼んだ。また,その折に花崗岩研究の第一人者であるホワイト博士及びチャペル博士と議論を行った。その中で,本研究ではIタイプ花崗岩について酸化的なもののみを分析していたことを指摘され,シンポジウム終了後にチャペル博士と共に,還元的なIタイプ花崗岩の採取を行った。この試料の分析は引き続いて来年度に行う。
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Research Products
(1 results)